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2004年07月05日

ハプニングの連続の・・・その後 (加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

7月5日(晴れ)
前々回に、ビジネスホテルについてのハプニングを投稿した。その後知り合いからメールが来て「あなたは接遇講師なんだから、苦情の一言も言ってくればよかったのに・・・」と言われた。「苦情の一言か・・・」と思いながらこの投稿を書いている。

この世の中、別にそのビジネスホテルではなくても苦情が言いたくなる場所はたくさんある。「いらっしゃいませ」も「ありがとうございました」も言わないコンビニ。行き先を告げても何も言わないタクシー。少し何かを聞こうとすれば「あなたは患者なんだから黙って指示に従いなさい!」とばかりに強気な医者。歩道に排泄物垂れ流しの犬と飼い主・・・。どこにいてもいちいち気にして文句を言おうとすればいつだって言うチャンスはあるのだ。

私の場合、接遇研修会はそれが仕事であり、私は悲嘆の方々をサポートする「葬儀」という仕事をこよなく愛し、葬儀スタッフの皆さんの成長を心から願い、何よりも葬儀社様のさらなる発展をお手伝いする為に、講師としての私が生かされていると思っている。
だからこそ私は研修会では本当に厳しいことを言うしスタッフを叱る。ダメなことにははっきりダメと言い繰り返し学んでもらう。私が本気で心と身体をはっての「愛のムチ」を打つからこそ、受講生も本気でこの私についてきてくれるのだと思っている。

結婚した頃、夫婦で食事に行き、その店の対応の仕方をいちいち分析していた時期がある。傍らで聞いていた夫は言った「やめろよ、そんなこといちいち聞きたくないよ。こっちは・・」そりゃそうだ。その場所での私は接遇講師ではない。普通の妻でいい。それにいちいち言っている自分も嫌になる。傍で聞いていた夫はもっと不快だったに違いない。よく離婚しなかったものだ。その頃から接遇講師としての自分と普段の自分を分けてとらえるようになった。

お客様は自由です。そのお店が嫌だと思えば二度と行かなくていい。今や医者だってセカンドオピニヨン(第2の主治医)を選ぶこともできる。担当者も嫌だと思えば変えればいい。お客様が嫌だと思っていることに気づけば、スタッフ側も変わって行こうと努力するはずで、変わらないのは変わろうとしていないからであり、私ごときが苦情を言ったくらいで変わるはずは無い。
人や会社は危機感を感じてこそ、「ヤバイ!」と思ったときにこそ変わっていける。もし私が、そのホテルがこれから発展して行って欲しいと心から願うのなら苦情の一言も言ったかもしれない。しかし・・・はっきり言うとそのホテルには二度と泊まらないと思うし、そのホテルが今後どうなろうと一介の客である私には何の関係もない(厳しいけど本当のこと)・・・だから、玄関に履き散らかされた靴には目をつぶるし、おばちゃんの騒々しい話し声にも耳をふさぐ。汚れた洗面台も無かったことと忘れる。犬の排泄物も踏まないように気をつければいいし、とりあえずコンビニでは牛乳が買えればいい。タクシーも行き先にさえたどり着ければよしと、自分を納得させる。

現代の人々はこうして感性を鈍くして、なるべくイライラしないようにコントロールしているのかも知れない。
私もそんな術を身につけてしまったらしい。そんなことで大切な命を縮めたくはないから・・・。

でも、本質的にお客様は心地よく買い物が出来る店でモノを買いたいと思う。
心地よく過ごせるホテルに泊まりたいと願う。
心からお世話をしてくれた葬儀社で又葬儀をお願いしたいと素直に思うのだ。
人は良くしてもらった場所には必ず戻ってくる。
そしてそのことに早く気づいた会社や店、サービスマン・・・こそが生き残っていく。
そういう時代がすでに始まっている。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2004年07月05日 01:23

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