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2005年01月12日

ニューヨーク物語(関谷京子)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

今回は、旅先での話第2弾です。
私が仕事以外で唯一、一人旅をしたのはニューヨークだった。
かれこれ17年前になるだろうか。
26歳の真冬の事だ
(あっ、マズイ、年がバレた)
それも超ビンボー旅行だったように記憶している。
真冬を選んだのも、そもそも格安の季節だったからだ。
今と違ってニューヨークへの個人旅行は、
当時かなり旅券代もホテル代も高かった。
それだけで数十万はかかったと思う。

目的はミュージカルを観倒すことと、美術館巡りに絞った。
日課は決まっていてこうだ。

朝、暖房の壊れた部屋で・・・
なぜか黄色い、いかにもあたりそうな水を沸かして、
日本から持参したインスタントコーヒーをすすりつつ、
美術館の位置を頭に焼き付ける
(地図を見ながら歩くのは、ぼったくりの格好の獲物だからだ)

次にミュージカルの半額チケット売り場に並び、
その日観たいチケットを、身振り手振りでゲットする。
その足で美術館が周りに点在するセントラルパークへと
ひたすら大雪の中歩き続け、パーク内のベンチでしばし一服する
(その頃はまだタバコを吸っていた)

美術館も観賞し終える頃になると腹ペコ状態なので、
ちっぽけなコンビニのような店で固いパンを一つ買って、
その辺の路地に座り込み、道行く人々を見ながらとりあえず腹を満たした。
そしてミュージカル昼の部を目指して黙々と劇場へ向かう
(これも朝のコーヒータイムで頭に焼き付けた道だ)

観終わると今度は夜のチケットを手に入れ、
一旦ホテルへ戻り、渇いた喉を潤すのはまたインスタントコーヒーだ。
何せビンボー旅行だったので外食なんてもっての他、
マックにさえ入るゆとりはないのだ。
それでも毎日ワクワク楽しかったのは若さ故の情熱のたまものか。
夜の観劇の後は胸にしかとプログラムを抱きしめて、
また固いパンと、今度は一応ディナーなので、
生ニンジン1本も付け足して買い、寒いホテルに戻る。

大体がこのスケジュールで約3週間、
ほとんど『ハロー』ぐらいしか言えない私が旅をしたのだった。
実はホテルに到着するなり日本の駐在員らしき男性に、
『こんな危ない地区のましてやこのホテルは、日本女性がひとりで泊まるような所ではない。すぐにヒルトンホテルクラスのある地区に移りなさい』
と忠告されていた。
確かに薄汚く怪しげで怖い感はあったのだが、
何より目的の劇場密集地域だったし、日本で予約出来た一番安いホテルだった。
『とりあえずそうします』
とお礼を言っておいたが所詮無理な話。
だから脅されたり、スリに遭わないようボロをまとったりして颯爽と歩く!
で、約1ヶ月の一人旅を乗り切った。
(ようは、現地人化すればかなり安心なのだから・・・)

こんな時だけはどうやら肝が座るらしい。
私の若き日の懐かしい思い出の一つである。
その旅でのスケッチが下の写真だ。(ご覧あれ)

 

 

 

セントラルパークで印象に残った日本的な雪景色や、
ミュージカルダンサーの格好いいワンシーン、
横断歩道にて走り書きした道行く人々、
また丁度その頃松田優昨さんの遺作になった
「ブラックレイン」の映画を観る為に、
劇場の薄暗いコンクリート入り口で待っている間のこと、
究極は、見知らぬモヒカン頭のあんちゃんと、
生ニンジンを半分ずつ分け合って食べたことも懐かしい
(だって欲しそうに見ていたから)

それにしても・・・
私のイメージがどんどん悪くなっている気がしてならない・・・
本当は小柄で、か細くて泣き虫の・・・
余分に言わせて貰えば、ちょっとだけかわいい女の子だったのにぃぃぃ・・・

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年01月12日 22:30

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