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2005年02月12日

追悼文の様子を拝見に・・・(井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

先日、FUNET追悼文を積極的に取り入れて下さっている
埼玉のT葬儀社様へ、お通夜の見学に伺わせていただきました。
たまたま司会が弊社の橘貴美子だったので、
ホールまでドライブだと運転手にされ、工場長と3人でお邪魔いたしました。
とっても充実した無宗教葬のご葬儀でした。

 

担当者は女性館長のYさんでしたが、
女性ならではの肌理(きめ)の細かな打ち合わせをされたのでしょう。
ご遺族様の要望を様々な形で実現するのに、苦心された様子がよく分かります。
通夜当日を迎えるまでの限られた時間の中で、
しかも無宗教ということになると、やりがいもありますが、
担当者のプロデュース能力が問われてしまいます。
通り一遍の、地域の慣習に逃げ込むような形式がとれないので、
無宗教形式を苦手にされている葬儀社さんも多いようですが、
この日のお通夜は、女性館長の手腕が遺憾なく発揮され、
遺族の想いが充分反映されたお式だったように感じました。



それにしても橘が、またナレーションの腕を上げていました。
(手前味噌ですいません)
ナレーションの表現レッスンに通い続けているだけのことはありました。
引きの呼吸が充分使えるようになっていましたし、
一語一語の言葉のブラッシュアップと語尾の処理が上達していました。
前よりも呼吸に優しさが加わって、結婚して良かったなと思いました。
(行かず後家を心配していましたから・・・)
低い音から力みが消えて、とても聞き易く、
エロキューションがワンランクアップです。
(でも年をとると、低い音は出やすくもなりますが・・・)
橘のおもしろいところは、FUNETを一切使わず(使わんかい!)
すべてオリジナルの文章で構成し、しかも手書きで行変えもなく、
そのまま続けて書き続けるので、他の司会者では怖くて見てられませんが、
さすがに私はもう慣れました。
恐らくですが、目線で文字を先読みする力が圧倒的に優れています。
今度スケジュールが合えば、フェア等で実演させましょう。

 

追悼文は素晴らしい出来栄えで、表紙には遺影写真が入り、
裏表紙には上記写真の遺品展示コーナーにも展示されている、
故人の書である「感謝」の一文字が。
その出来上がりたるや、まったく驚きです。
礼状なんか見向きもしない弔問の皆様が、食い入るように読んでいました。
ここまで活用してくださっている、S様にこちらが感謝!です。
やはり追悼文は、儀式空間に入るときに渡すのがベストだと思います。
皆さんが故人のことを偲ぶ、それぞれの時間の扉を開けてくれます。



しかしながら、毎回この葬儀社様のメモリアルコーナーには恐れ入ります。
飽くなき探究心とこだわり、もちろん有料のサービスらしいのですが、
(金額をお聞きしましたが)それでも絶対に安い。



私も昔、いろいろと試したことがあるのです。
水ローソクの水に色を付けてカラーコーディネイトをしたり。
と言っても、何で色を付けるかというだけで、何回も実験しました。
最初は、ファンタグレープなどのジュース類を水に混ぜたり、
(炭酸が出てNG)
リキュールを何種類も買ってきて試してみたり、
(どれも洗浄に苦労してベタつくのでNG)
水彩絵の具を垂らして見たり、デンファレを入れて見たり・・・
バスクリンは匂いがしてダメでした。
(スタッフの皆は呆れていましたが)結局は、食紅に落ち着きました。
一つのことを実現するだけでも、やり遂げるまで常に頭の中は一杯なのです。

他には、菊花糖のオリジナルな並べ方を研究したり、
それはもうほとんど趣味的といえるくらいこだわりました。
さらには、高杯や化足の上に乗せるのではなく、
他に何かないかとデパートを巡り、小さなお盆を買って試してみたり、
(お小遣いがなくなりました)
半紙ひとつにしても、和紙タイプに変えてどの色ならどうなると実験したり。
(これも結構高かった)
飲食用のテーブルクロスに凝って、散財したり・・・(トホホ)
ライティングに工夫を凝らし、舞台用照明のゼラを当ててみたり
(これは大学の劇研から、先輩として無理やり横取りしました)
(光を散らしてみたり、枠を作ってみたり、微妙な色合いを試したり)
スタジオ撮影用のハロゲンライトを祭壇に照射して違いを観察したり、
(葬儀業界用のハロゲンとは大違い)
業界の業者を通さずに、大元の卸し業者から直接幕の購入を試みたり・・・。
若い頃の自分がそんなタイプだったから、
この葬儀社の工夫の仕方が、私にはお気に入りなのです。

カッコよく言えば、デザインやライティングや空間プロデュースを学ぶ
ということになるのでしょうが、簡単に言えば、もっとステキなやり方、
安くて、本来別の物を、葬儀の現場で上手に流用する方法はないかと、
常に前を向いて努力するということです。
感性を磨き続けるということが、やがて匠に通じるのですね。

いやあ一口に葬儀社といっても千差万別で、
スタッフ一人一人の意識や、少しずつの努力の積み重ねで、
同じ現場でも、随分と違った結果をもたらす事がよく分かりました。

ここの上司の凄さは、どんな意見でも逃さずに耳を傾け、
現状に甘んじることなく、常に変化への対応を心掛けているところでしょう。
現場から離れることなく、それでいて内部にいては見えないものがある
ということを、よくご存知なのです。
自社にとって、ともすれば批判的に思える提案であっても
多くの人の意見を聞く耳を持っているということが素晴らしい。
何にでも純粋に興味を持たれるから、私より上の世代でありながらも
パソコンのソフトを充分に使いこなされるのでしょう。
(恐れ入ります)
今回、樹木葬の形式で、何かおもしろいプロデュースはないか?
と尋ねられましたが、勉強不足で充分なデータが揃っていませんでした。
もっとアンテナを拡げ、今後の課題として調査研究したいと思います。

女性館長のY様、こだわりのS様、今回はサブに回られた男性のY様、
それから女性スタッフの面々、ついでに奏者の?様(ごめん名前知らない)。
追悼文と弊社の司会者を使ってくださっただけでも感謝なのに、
ご遺族やご会葬者にいい印象まで与えてくださってありがとうございました。

通夜終了後の帰路、三人で食事をしながら反省会をしましたが、
運転手の私を除く二人が、社長の私を差し置いてですよ、
平気な顔をして『乾杯!』と、
いや『カンパーイ!』と思いっ切り語尾が延びていましたが、
おいしいビールを飲んだことは言うまでもありません。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年02月12日 03:48

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