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2006年03月08日

葬儀司会研修会in岩手 (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

数人の会話です。(東北弁風に)

「最近、ジャスラック(日本音楽著作権協会)からアンケート調査が入ったんだ」
「あっ、弊社(おらのかいしゃ)にも来たべ」
「んで、どうなのよ、どう答えだの?」
「色々ど質問(すつもん)さされて動揺すたけど…」
「市販(すはん)の曲の使う頻度とか聞かれたべ?」
「んだ、んだ」
「なんだべかな?」
「おめぇ、知(す)らねえかや」

ごめん、きっと違うと思うんだけど、こんな風に会話していました。
ある会社は殆んど弊社制作のオリジナルBGM集を使っていますので
あまり心配はしていない…と何やら嬉しい事を…。
どうやらジャスラックが、全国的に葬祭ホールの調査をしているのかも。

盛岡は思っていたよりも寒くなく、体感温度として3度程低いかなという感じ。
聞くところによると、この冬は例年になく大雪だったようだが、
3月を迎えて東北にも漸く春が訪れているのだろう。
関東で花粉が飛散し、鼻炎で苦しんでいた私もこの2日間は過ごしやすかった。
では研修のご報告を。


お借りしたホールの祭壇には吃驚仰天!
横幅6間の大祭壇、キャパが5百席も。


初日が18名、2日目が19名のご参加。
といってもそれぞれ業務を抱えていますので、途中退席・途中参加有り。
初日は夕方から3時間弱、2日目は9時から5時過ぎまでみっちりと。
ハードなスケジュールにもかかわらず、皆さん大変熱心でした。
そして2年前にも参加された方が4割程度。
ただ、この4割の人が上手になっていました。(感激です)

ところで皆さんは、下記がスラスラと読めますか?
<かきくけこ・きくけこか・くけこかき・けこかきく・こかきくけ>
これはセミナーの発声練習の一部ですが、平仮名・カタカナは読みづらい。
何故なら、表音文字だから。
図形に対して「音」があるだけです。(意味が連動しません)
たったこれだけの簡単な発声練習だけでも、
2年前の経験者と初めての参加者では既に差がついています。
口跡のレベルが違うし、目で文字を追う速度・確度も歴然。
研修会には知らない世界が一杯広がっています。
私の講座を勧めるわけではなく、学ぶ姿勢は大切だということです。
それから特に女性の上達は早い。
司会には個別適性があるのは当然ですが、一般に女性は男性より優れている。
今回もそのことが裏づけされました。



ところで岩手県内は、葬儀司会に女性が進出したのは決して古くはない。
未だに女性が葬祭関係の仕事をするのに偏見も残るようだ。
しかし、司会の分野でその風習の功罪を比べると、
もしかしたら遅れて参入したのは正解かもしれない。
昔風の変な葬儀口調の言い回しが受け継がれていないので、大変宜しい。
まだまだ寺院葬が根強い地域だが、
それでも少しずつホール葬の比率が上がっているとの事。
ナレーションに対する顧客の関心も高まりつつあるようだ。
今後女性司会者は活躍することになるだろう。

講座の内容は、初日は講義中心の座学と発声練習など。
2日目は、出来る限りの実践を取り入れ、マイクリレーや課題発表や
午後からは実際にホールをお借りしての模擬葬儀形式。
単に司会に限らず葬祭スタッフとの連動や、
参加者が喪主役・参列者役となり他社の進行を体験したり、
同一県内における地域格差に驚いたりと…様々。


実戦形式は小ホールをお借りして。


一番驚いたのは、葬儀開式後、葬祭スタッフは外で待機。(えっ!)
進行その他の一切を寺院がやるという地域があったことだ。
司会どころか焼香案内すらない。
弔電なんか読んだことすらないのかも。
昔ながらの、仏具・葬具屋さんがまだ存在していた。
祭壇を運んで飾れば、御用聞きはお終いか…。
葬祭業がサービス業と認識されてから久しいが、
今も地方へ行けばこんな葬儀社さんが存在するのだ。(凄いね)

この他にも各地域のやり方は微妙に異なっている。
たとえ宗派が同じでも、風習が違うので進行もそれに伴うのだ。
さらには、導師の考え方も色濃く反映してくるだろう。
都心に比べて柵(しがらみ)も強い地域だけに、
新しいことにはチャレンジしにくいのかもしれない。
それでも仏式における一つのご提案をしてきた。
近い将来、どこかがチャレンジして風穴を開けてくれないかなあ。
僧侶も立てつつ、プロデューサーとしての地位も確立して欲しい。

葬儀はその地域のニーズにマッチしたベストの選択が必要。
そして家族単位のニーズの違いにも敏感に対応しなければならない。
このお寺のやり方は…とか、この地域のやり方は…などは、
必要情報ではあるけれど、昔日の絶対的価値を伴っていない。
今後は葬儀社として、どうプロデュースしていくかが問われるだろう。
今回の研修で得たものが、それぞれの現場で役立つことを願います。

最後に、事務局の方々にはまたまた大変お世話になりました。
そして快くホールをお貸し下った会社の方にもお礼申し上げます。

<おまけ>
今回ご参加いただいた方の中に、FUNETを使って下さっている3社が。
いずれも1年以上前から使ってもらっているが、それぞれ司会が上達したり、
追悼文が定番になりつつあったり、時々DVD映像も…。
しかし、残念ながら使い放題のシステムを充分に活かし切れてなく、
とてももったいなく感じている。
もし近くだったら、FULL活用できるようにパソコン教室をやりたいくらいだ。
そんな訳で、カラーパネル(A3)の実物や追悼文(B4)のサンプルも持参した。
(パネルは祭壇が大きすぎて目立たなかったけど)
他の参加者も興味深げに眺めていたが、早速問い合わせもあったようだ。
現状に甘んじることなく、様々な選択肢を模索して下さるのは嬉しいことだ。

帰路の新幹線、比内鶏の弁当を2個も買ったぜ ! (うまいよ、これ)

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年03月08日 00:22

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