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2006年03月23日

「病院ボランティア講座・体験発表」

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

先日、病院ボランティア向け勉強会の最終日に、多くの受講生の前で、
ボランティアスタッフとしての体験談を話す機会をいただいた。
接遇講師としてではなく、一人のボランティアとしての視点で話すことは、
私にとってもとても有意義な時間だったと感じる。
以下にその時の内容を書きます。

昨年の7月頃から、ボランティアスタッフとして、お手伝いしております。
ボランティアをしたいと思ったきっかけは、昨年こちらの病院に入院、
手術をした時に、とても献身的な看護をしていただいた経験からです。

その時は、病気そのものは、それ程大きなものではなかったのですが、
私なりに精神的なダメージを受けておりました。
傷や病気はお医者様が治してくれる。
でも「精神的な部分は治療では埋めることが出来ない」という経験をしました。
それを「こころとからだの癒しのために・・・」という理念を目指して、
チャプレンはじめ看護師さんたちが、とても大切にしてくださったことが、
今でも忘れられません。
退院してから暫くは自分の体の方も大変でしたが、その内よくなって来ると、
何だか、「この病院に帰ってきたい」という気持ちが募りました。
でも「病気にならないと、帰れないなあ」と思っている時に、
ボランティアのことを知りました。

私のボランティアとしての体験は、クリニック棟の2階からスタートしました。
ここでは、患者様の様々な困りごとのお手伝いをします。
特に、体重計や血圧計の計測のお手伝いが多いです。
初めて使う方や、お年寄り、車椅子の方などのサポートをします。
自分で出来る方にとっては、私のお手伝いが余計なものであることもあります。
患者様が、迷っていらっしゃるのか、どうかをよく見ることが、コツです。
「私だったら、こういう時にどうしてもらいたいかな?」と、いつも考えます。
私自身はどうかというと「はじめは自分でやりたいというタイプ」です。
患者様にも、色々なタイプの方がいらして、どこまで親切にしてあげるか、
又は、どこまでさりげなくするか、時には手は出さない・・・
ということを毎回、迷いながら体験しています。

ボランティアスタッフとして、初めて体験することは、
私にとってもドキドキもので、不安なこともあります。
ですから分からないことは、何でも聞くということを基本にしています。
色々な困り事を自分ひとりで解決しようと思う方が、危険なことだと思います。

最初の頃、一度だけ職員の方に怒られたことがあります。
クリニックで「掲示板の見方は、よく分かっているのですか?」
と言われました。見方の勘違いをしていました。
一番いけないことは「間違った情報を患者様に伝えること」です。
それが後々、大きな問題につながりかねません。
ですから、あやふやなことをお伝えすることがどれだけ危険なことかを 
再確認しました。今、私が守っていることは、
「自分が不安なことは、すぐに聞く」ということです。

ナース以外にも、事務の多くの職員の方は、とにかくとても忙しいです。
受付の女性の方などは、右の耳で、目の前の方の話しを聞いて、
左の耳で電話して連絡をとって、口で答えて、手は別な作業をしています。
職員の方が忙しいと、「今、聞くと申し訳ない」という気持ちになります。
でもその遠慮はいらないと思います。
もちろん何が何でも「仕事に割り込んで聞く」ということではなく、
こちらも職員の方をおもんぱかった聞き方が大切です。
患者様のことで精一杯の時に、私たちの面倒までは見切れません。
ボランティアスタッフであっても、自主、自立が求められます。

患者様はもちろんのこと、職員の方も、ナースも、そして私も人間ですし、
色々な勘違いや行き違い、感情の起伏もあります。
最後には「お互いに信頼し合い、許し合いながら・・・」
という気持ちがとても大事です。
もうひとつ大事なのは、私自身のストレスをためないことです。
小さなことでも気になることがあったら、
ナースの方に「こんなことがありました」
「こういう時にはどうしたらいいでしょうか?」というお尋ねして、
心配なことはその時に解消します。

病院においでになる方たちは、どちらかと言えば、重い気持ちや辛い症状で、
言葉も少なくて、下を向いているような方が多いです。
そういう方々を見ているとどうしても私まで静かでおとなしくなって行きます。
けれど、私まで下を向いて暗くなってしまうと、
患者様をリードしてご案内することは難しいです。
ですからご案内で入口に立つ時には、ちょっと気合を入れます。
エンジンをかけて、こちらから進んでご挨拶をします。
「おはようございます」
「こんにちは」
「何かお探しですか?」
「お分かりになりますか?」等など・・・。

毎回、ほとんどが初めてお会いする方ばかりですが、
私から近づいて行くと、大体の方はこちらを向いてくださいます。
「心の扉が開く瞬間」という感じです。
そうすると会話が生まれます。
会話のやり取りから、今度は笑顔が出てくることもあります。
一度、患者様とそのような雰囲気になると、お帰りになる時に
「お世話になりました」とか、「今、終りました」と、
今度は患者様から、私に向けての声がかかります。とてもうれしいです。
「お大事になさってください」という言葉でお見送りをします。

私は、月に数回しか来ないボランティアですけれども、ここではその時だけの
たくさんの出会いや会話があって、とても充実した時間を過ごしています。
ボランティア活動は、出来る範囲内で、決して無理はしないように、
そして、なるべく楽な気持ちでいようと、心がけています。
この病院の多くのスタッフの一員として、ここで活動できることが、
今は私の誇りです。

以上が、私が話した体験談である。
葬儀の現場でも同じような経験がある。
特に葬儀は私でさえ、やらなければならない仕事と時間に追われて、
なかなかお客様との細かいコミュニケーションにまでは至らない。
だからと言って、ないがしろにしていいということは許されない。
そんな私にとって病院での体験は、患者様やお客様との間に繰り広げられる
深いコミュニケーションのやり取りを体感させてくれる。
そして再確認したことは、患者様やお客様など、
他人がどうのこうのという前に、
「自分は何を思い、ここでどうしたいのか」
「患者様(お客様)にはどうなってほしいのか」という
「接遇理念(自分が信じるコト)」を持つことがどれだけ大切かを実感している。

葬儀の現場においても、スタッフ一人一人が、
自分の中にこのような「想い」を持つことが出来たら、
素晴らしい顧客サポートが可能であると同時に、
素晴らしい組織作りが、出来るのではないだろうか・・・。
今年度の接遇研修会は、このような要素をたっぷりと入れて行くつもりだ。
楽しみにしていてほしい。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年03月23日 00:01

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