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2006年08月14日

葬儀接遇研修会 (加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

10年近く接遇研修会に伺っている葬儀社様で、新人研修会がありました。
新しいホールが出来たり、新人さんが多く入ったりした年などには、
必ず私を呼んでくださり、私も真剣にスタッフの皆さんと共に、
この葬儀社独自の接遇プログラムを作ってきました。



特にこちらの葬儀社では、ホールの接遇スタッフは女性を中心にしており、
多くのパートさんも活躍しています。
その代わりスタッフの出入りが激しい時期もあるとのこと。
今回はその新人さん4名程が、ある程度の期間を経て仕事を覚え、
落ち着いてきた時期とのことで、改めて接遇研修会を開催したのです。
新人さんといっても年代は様々です。(20代から50代近くまで)
人生経験も様々な女性の方々を前にして
「さて、どのように話を切り出そうか」と、私は楽しみでもありました。

「社会人として、葬儀スタッフとしての、心の部分」を、
徹底的に指導して欲しいとの依頼がありました。
私の接遇研修会の特徴として、接遇の形に入る前に、
スタッフの気持ちの部分を重要視します。
どんな仕事をするのでも同じだと思いますが、
「接遇の形」だけができても、システムや形式だけが先行しても、
現場は上手く行かないことを多くの研修会を通して体験しています。
例えハードやソフトが充実していても、
最後に力を発揮するのはヒューマン(人)の部分です。
「人の部分」が充実していないと葬儀という仕事は上手く行きません。
それはなぜかというと、私たちのお客様は人だからです。
それも悲しみに沈む人々です。
普通のサービス業のようなわけに行かないのが葬儀の世界です。

例えば会社をあげて「顧客満足」を掲げて、
何か変わったことや特別なことをするのもひとつの方法かも知れませんが、
悲しみのお客様はどんな人たちなのか、何をして欲しいと思っているのか、
その為に我々は何をしたらいいのか・・・
という「原点」を見つめることも、大切ではないかと思います。

それが分かると、お客様を見る目が変ります。
見る目が変ると行動が変わります。
その思いを「目に見える形」や「耳に聞こえる形」にして、
悲しみのお客様にプレゼントする。
それが「葬儀の接遇」だと思うのです。
お辞儀も言葉がけも、ご案内も誘導も、ありとあらゆる葬儀の接遇は、
「その人(スタッフ)の心」で決まります。
何を思い・・・どこから・・・どのように・・・
その形の元となる正しいエネルギーが出ているかに気付くことが必要です。

それを私は、研修の様々な講義を通してお伝えしています。
講義の中で、ある時は一消費者の気持ちで、又は喪主の気持ちで、
そして心理学的見地から・・・切り口を変えながら様々に訴えて行きます。
お客様がどういう気持ちでそこにいるのか、
どういう気持ちで葬儀スタッフと向き合っているのか、
そういうことを知らずして、知ろうとしないで「顧客満足」は無いと言えるでしょう。
研修会でその講義を聞いているスタッフ達は、
真剣な眼差しで自分のことを振り返っているような様子でした。

後半は葬儀接遇の形の部分に集中しました。
ここでお客様に対しての気持ちが入った人は、素晴らしく上手になって行きます。
接遇の形に心があるということは、見ているだけで気持ちがいいです。
そして最後は、ホール全体をつかって、実際のロールプレイングでした。
ひとつひとつの基本が出来ると、実際に動いた時に難なくこなせるようになります。
全員が、今出来なくてはいけない接遇を実際に動いてみて、
出来ることを確認して研修会は終了しました。

出来るコトを確認するだけでも、自分に自信がもてるのです。
そして「上手ですね」「出来る、出来る」「そう、その通り!」という私からの言葉で、
さらに自信がついたのではないでしょうか?
何事にも気持ちは大事です。
翌日の現場で生き生きと仕事をしている自分自身がイメージできればもう大丈夫です。

終了後、私と同じ世代のお二人と食事をすることになりました。
葬儀の世界に飛び込んで数ヶ月・・・。
若い世代は周りが見えなくて全てが自分中心になりがちですが、
それなり?のお年頃になると、自分以外のことや会社のこと、
周りのスタッフのことも見えてしまい、それだけに辛いことも多いでしょう。
そんなことを語り始めたお二人でした。
私はあくまでもファシリテーター(中間の位置)に徹して、
傾聴して行きます・・・これはカウンセリングの手法です。

お二人は、時期的にも壁にぶつかっている現在、様々な悩みを吐き出してくれました。
心の中に固めた気持ちをゆっくりと溶かしながら、言葉にして出すことの大切さ。
人は、本当の気持ちを誰かに聴いてもらいたいのです。
そして答えは求めていません。
答えは自分が持っているからです。
話す内に気持ちが整理されて行くのです。
私がこのスタッフたちに、「ああしたら?」「こうしたら?」と、
答えを与えるのは簡単ですが、それではいつまでも変わることは出来ないのです。
苦しいけれど自分で越して行く経験は、人を大きくしてくれると感じます。
最後にはビールも入って、陽気に色々な話をした3人でした。

様々な経緯で葬儀スタッフという道を自分で選んで入ってきたからには、
やるところまでやりきって欲しいと願います。
又、いつでも悩みがあったら聞きますよ!
頑張ろう!
そして時々肩の力を抜こう!
私たちはみんな、完璧じゃない!
大変、お疲れ様でした。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年08月14日 00:00

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