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2007年03月01日

個人葬の司会を終えて<通夜編> (石川 元)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

なんて可愛らしい花祭壇でしょう。
コンセプトは、「たくさんの愛をありがとう」だそうです。
祭壇にハート型を作ると、何だか子供っぽく見えたり、
いまひとつ品がなくなってしまう事が多いように思いますが、
白を基調としているので、とても爽やかな祭壇に仕上がっていると思います。
また遺影写真の近くには故人がお好きだったピンクのチューリップが春らしく、
保育士さんらしい温かみのある素敵な花祭壇ですね。

葬儀全体は、とても統制のとれた、
ゆったりとした葬儀という印象を持ちました。
参列者の焼香案内時に感じた事です。
3名様ずつの焼香がバラける事なく、ゆっくりと進んでいきます。
数少ないスタッフで賄っているのに何故だろう?という疑問を持ちながら、
司会席で焼香を眺めていましたが、どうやらご案内の仕方にあるようです。

式場外の参列者を3名様ずつ式場内にご案内するスタッフが、
少しの間、持ち場を離れていらしたので、
私がお手伝い(代役)を試みたのですが…
参列者の列は、その途端にバラつきだしました。
「少しお待ち下さい」「どうぞお進み下さい」と動作を加えて、
私もスタッフと同じようにご案内しているつもりなのですが、
私がご案内をすると参列者はジリジリと前に前に進みだし、
あっと言う間にバラつきだしたのです。
お客様誘導にも基本動作の他に、コツがあるようですね。
「立ち姿」「誘導の動作」「言葉かけ」に、
スタッフのキャリアによる自信が表れお客様に伝わるのでしょう。

司会は仏式で至ってシンプルなもの。
ナレーション作りの為の取材用紙は空欄が目立ち、
出来れば当日に少し取材をして、
もう少し充実したナレーションをと思ったのですが、
ご主人の喪主様の落胆は計り知れず、声を掛ける雰囲気ではありませんでした。
取り乱すわけでもなく、黙ってただ祭壇を見つめる喪主様が痛々しく、
私のナレーションもきっとお耳には届かなかった事でしょう。
呆然自失…
通夜後も誰も居ない式場内にポツリと1人残り、
いつまでも黙って喪主席で祭壇を見上げる喪主様の頭には、
奥様と過ごした思い出が渦巻いていらしたのでしょう。
私が帰った後もずっと長い時間、そうしていらしたそうです。

そんな状況でも、お式の段取りを決めるために、
話しかけなくてはならない葬儀スタッフは、本当に大変な仕事ですね。
ホールの館長さんが、さりげなく温かい言葉を投げかけているのが、
印象的でした。
こんな時は、やはり女性スタッフの方が適役だと思います。

ホールのスタッフ事務所に「葬儀に慣れて、葬儀に慣れるな!」
というような目標(標語)のようなものが貼られていましたが、
まさしくその通りだと思います。
お客様を大切にする葬儀をとても感じました。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2007年03月01日 09:13

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