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2007年05月07日

親戚の一周忌法要 (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

親戚の一周忌法要に出た。
あれから、もう一年経つんだなあ…
身内だけの式だが、妻方の親戚に当たるので知り合いは少ない。
菩提寺の宗旨は、曹洞宗であった。
住職が一人でいらしたが、年配でかなり感じの良い方だった。
法要後、近くの墓地へお墓参り、食事会、法話と進んだ。
この地域のお墓参りは、塔婆、お花、線香、ローソク、お米である。
(私の故郷北九州では、お米はまかないと思う)

もう何年も前から、法事に出ては住職の隣に座ることが多い。
お寺の住職というのは、なかなか取っ付きにくいタイプと思われている。
正直…面倒くさいからお前が相手をしろ…というわけで押し付けられる。
私は浄土真宗本願寺派だが、お他宗派の方とお話が出来るのは好きである。
葬儀の仕事を長く続けているので盛り上がることこの上ない。
…話題に事欠くことがないのだ。(相手が無理に合わせている場合を除けばだが)

で、今回のお話を少々。(あくまでも酒の上での話ですよ)
住職が勤めたのは、開経偈・般若心経・修正義4章の発願利生・
寿量品偈・舎利礼文・略三宝だったと思う。
(他宗派なのに良く判るのが面白いです)
法要後、私が献杯を担当して(真宗は献杯って言わないけど、私は堂々と言います)
ひとしきり自己紹介などが終わると、早速興味を持ってくれた。
私が築地の本願寺へ通っていたからだ。
「得度は済まされましたか?」
「いえ、引き受けて下さるお寺が見つかりませんので」等と話が弾み、
「…失礼ですが、お仕事は?」
「実は、葬儀スタッフへの講習会をやっているんです」
「へえー、どんなことを?」
「葬祭ディレクター、葬儀司会、葬儀接遇…」
「全国を回るんですか」
「一年間で、ほぼ一周しますよ」等と言い(相手は驚きます)、
具体的に研修会をイメージしてもらうため、
例えばということで、今日のお勤めの内容を話したら凄くビックリされた。
「違う宗派なのに分かるんですか?」
「大雑把ですけど、一応一通りはやります」
「どの宗派もですか !?」
「ええ、お経や偈文と、スタッフの動き出しのきっかけ位は掴んどかないと…」
「本当ですか、凄いですねえ」

そこからは、葬儀の在り方やお経談義と相成っていった。
葬儀の在り方については、私の方からもご提案したがいずれまた。
ここでは、お経談義について。
開経偈は、出典が不明で、もしかしたら日本人が作ったものではないのか。
それにしちぁ、素晴らしいお経・偈文だ。
般若心経は、仏説摩訶般若波羅蜜多心経と言いその意味するところ。
これは質問コーナーに書いてるので割愛しますが、
話題の中心は高僧の大胆な訳について。
修正義は、お釈迦様が作ったものではないし(日本で成立)、
また、その問題点(差別的要素を含むとも言われる)についても。
これは少し暗い話になっちゃった。
寿量品偈は、曹洞宗=道元禅師の法華経信奉が垣間見られること。
「曹洞宗は・・・法華経だよ・・・」と酔った勢いでつい。
舎利礼文は通常3回だが、葬儀の現場では時間調整に使うことが多い。
金の打ち方で、リピートか終わるかが決まるのだ。
これは知らないと損ですぞ。(場所はご自分で探してね)
一般にセレモニーの打ち合わせは、維那としますよ、
導師ではありません(導師が兼務することあり)で、舎利礼文を掲載します。

(4言18句のもので唱えるときは、普通は3回なのだが…)
一 心 頂 礼  
万 徳 円 満
釈 迦 如 来
真 身 舎 利
本 地 法 身 
法 界 塔 婆
我 等 礼 敬
為 我 現 身
入 我 我 入
仏 加 持 故
我 証 菩 提
以 仏 神 力
利 益 衆 生
発 菩 提 心
修 菩 薩 行
同 入 円 寂
平 等 大 智
今 将 頂 礼

略三宝は、例えば浄土宗で言うならば、十念みたいなもの。
各ブロックが終了する毎にお唱えしている。
だから最後は、一般に導師退場の偈文だね。
掲載します。(これも憶えてちょ)

十方三世一切仏(じーほーさんしーいーしーふー)
諸尊菩薩摩訶薩(シーそんぶーさーもーこーさー)
摩訶般若波羅蜜(もーこーほーじゃーほーろーみー)

…お酒を酌み交わしながら、こんな話をしてました。
葬儀業界の研修会で、こんなレベルの高い話が出ているのかと感心していました。
だって、僧侶の会合では、もっと低俗な質問も出るそうです。
僧侶に失礼だから、ここは秘密にしときます。

そして最後に住職からの法話。
四苦八苦(しくはっく)…四苦とは、生・病・老・死のこと。
ただ四苦八苦ですから、合わせて八苦ということですので、残りは4つ。
一つ目は愛別離苦(あいべつりく)…
愛する人と別れる苦しみ、別れなければならない苦しみ。
二つ目は怨憎会苦(おんぞうえく)…
怨んでたり憎んでたり、嫌な人にも会わなければならない苦しみ。
三つ目は求不得苦(ぐふとっく)…
どんなに頑張っても、欲しいものが手に入らない苦しみ。
四つ目は五陰情苦(ごおんじょうく・他にも表記方法がある)…
人間の肉体と精神を5つに分けて表したもののことに執着する苦しみで、
例を挙げると、食欲や性欲など生きていること自体で生まれてくる苦しみかな。
存在していることによる苦しみとでもいいますかね。

ただ四苦八苦には、どれも「苦」という字を使っているけど、
「苦」というのはサンスクリット(インドの古い言葉)を訳す時、
ちょっとした誤解を生んでしまったのであり、
「どうにもしようがないこと」という意味合いだそうだ。
人生には、「どうにもしようがないこと」で一杯だそうである。
四苦八苦の法話は良くあるが、「苦」についての解説が珍しかった。

仏教って、奥が深いよねえ。
いつのまにか時間が経って、少しほろ酔い気分。
「今度遊びに来てください」となって、その内お邪魔しようと思っている。
こうして、親戚の一周忌が無事終わった。


<おまけ>
今日はレコーディング。
もう2年間録音を続けている。
今回は主にプロローグの「オールマイティ」だ。
これが終われば、次の段階へ進める。
そして明日から福岡へ出張だ。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2007年05月07日 08:26

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