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2007年09月11日

葬儀接遇研修会報告(加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

すでに何年か、お付き合いのある葬儀社の方からのご依頼で、
研修会の講師としてお招きいただきました。
決まってから当日まで、ご担当者とやり取りをしながら、
研修会に向けて綿密な準備を進めました。

 

この葬儀社さんは、会社側はもちろんのことスタッフ側も、
接遇研修会というものが初めてだそうです。
今まで自分たちのやり方(自己流と言うのでしょうか)で、やって来ました。
しかしながらこの時代、「お客様を意識したやり方に変えて行かないといけない」と、
気付かれたのだと思います。
全体をまとめて行くには時間がかかります。
しかし早く始めないと、いつまでもまとまりはつきません。
少しずつ、「こうなりたい」という葬儀社像に近づけるよう、
私も講師として最大限のサポートをしよう!と、心に決めました。

さて、どこから手をつけて行くかということです。
当日は、スタッフの皆さんに直接お会いして、
日頃どのような接遇をしているのかを見ることも必要ですし、
会社側の考え方を周知徹底させることも必要です。
又、短い研修会時間の中で、スタッフの皆さんが、
何か一つでも、接遇スキルが出来るようにもしたい…。
私はその全部を講義のカリキュラムに取り入れました。
時間の余裕はありませんが、せっかくの機会を最大限に生かしたいと思ったのです。

この葬儀社様は歴史があり、多くの実績で地域の方々に愛されて来たそうです。
しかしながら近年、少しずつ葬儀件数が減っていることもあり、
研修会ご担当者は気を揉んでいました。
「何かの原因があるはず…」と、弊社にご相談なさいました。
この葬儀社様は、本当に多くのスタッフを抱えています。
この際、全体のスタッフを集めて、気持ちの統一もしたいというご意向もありました。
会社組織というのは、人数が多くなればなるほど、意識の統一が必要になります。
それぞれが違う思いで、勝手なことをしていたら、
会社はどこへ向かって行けばいいのでしょうか…。
それは、スタッフたちだけの問題ではなく、お客様を巻き込むことにもなるのです。
ですから、このような研修会の時は、スタッフの意思疎通を図る絶好のチャンスです。

 

実は研修会朝の事務局サイドの打ち合わせで、
若干の違うテーマ(問題)も見えて来ました。
古くからいるベテランスタッフたちの教育です。
多くのベテランスタッフは、今まで、接遇等の教育も無く、
それぞれがやりたい形を任されて、それで十分にやって来ました。
気持ちや接遇スキルの統一など、気にかけたことも無かったでしょう。
無理もありません。葬儀社さんにどんどんお客様が来ていた頃のやり方を、
疑うこともなくやっているのです。
でも、今やそれは、どこにも通用しないやり方になってしまいました。
今、変わって行くことが求められています。
私は講義の中で、次のようなメッセージをお伝えしました。

今、葬儀社にとって、厳しい時代がやってきました。
しかしそれは当たり前な時代であるとも言えます。
今までが、葬儀社優先で仕事をしてきた、幸せ過ぎる時代だったのです。
お客様の気持ちも変わりました。
『お金を払うからには、満足した葬儀を行いたい』と、
これも本当なら当たり前な気持ちを真正面から訴えてきています。
そのお客様の気持ちに応えることの出来る葬儀社が、
この厳しい時代を生き残って行ける葬儀社ではないでしょうか…。
その為には、今、色々な意味で体力のある内に、
自分たちを変えて行かないと大変なことになる。
他人事(ひとごと)ではありません。
一人ひとりが自分のこととして自覚してください。
漠然としたことでは無く、より具体的に、
自分のやらなければいけないことに気付いてください。
何をすることに対して、お給料を戴いているのか…。
それが出来ないのならば、本来は戴いてはいけないお金です。
そのお金こそ、お客様の葬儀代金の中から支払われているのです。
『葬儀の中で、やらなければいけないことも出来ないで、
お客様と真正面から向き合えますか?』等など…。

私はいつも、スタッフ達にとって、耳の痛いことをハッキリと言います。
それは、ハッキリと、ガツンと言わないと、気付かないからです。
それが私の、講師としての立場、役割だと思っています。
ダメな所、出来ない所を見て見ないフリをしたり、気付かないフリをして、
臭いものに蓋をし続けたら、行く末はどうなるか…。
□□銀行も、△○証券も、YUKI○ (←5分考えてわかったby工場長) も、
あんなに大きな会社も、気づいた時には遅かった…。

 

いつものことですが、そんなことを語りながら、
講師の私の目線からは、多くのスタッフの様子が見えます。
良くも悪くも、私が言っていることを「大したことでは無い」と感じる人は、
下を向いていることが多いです。時には寝ている人もいらっしゃいます。
しかし今回は、ほとんどの方の頭が上がり、私をまっすぐに見ていてくれました。
その心の中に、私のストレートな気持ちが届いてくれたのかも知れません。
なぜなら…午後のロールプレイングは、
接遇のスキルを女性スタッフ中心にトレーニングするという予定でした。
ところが、参加しないと思っていた男性スタッフが多く参加してくださったのです。
葬儀社の役員の方も残って、遺族や来賓、参列者役をしてくださいました。
その男性スタッフは、時には女性スタッフと一緒に、
ロールプレイングにも挑んでくださいました。
講師の私からは、容赦の無いチェックが入りましたが、頑張ってくれました。
「この気持ちです。大切なのは…」
世の中には、「やるか、やらないか」のどちらかしかありません。
より良く変わって行く為には、新しいことにも挑戦しようとする実行力が求められます。
そして、変わって行くためには多くの時間がかかります。
だから、早く始めないといけないのです。
今までの接遇研修会の中では、初めてかと思いますが、
葬儀式場を想定したホールのほとんどの椅子が満席になりました。
遺族、親族、会葬者、受付係員という役割をこなしながら、
見学の方も含めて多くの方が座っていらっしゃいました。
皆さんの、接遇研修会への興味の深さが伝わりました。
ギャラリーの多さに、面食らったのは私の方です。
でも、「こういうやり方もあるなあ…」と、とてもいい経験になりました。

もうすでに全国的に、古い葬儀のやり方は通用しません!
それはお客様に対しても、スタッフに対しても…。
今までの自分を変えて行くには勇気がいるでしょう。
でも、変わって行かなければならないのです。
葬儀社全体でサポートしながら、
トップやリーダーも、現場スタッフも、ベテランも新人も、
みんなで一つの気持ちになって、越して行くことが出来れば、怖いものはありません。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」というラグビーの言葉があります。
どうか、前を向いて突き進んでください。
お客様に喜ばれる葬儀社を目指して、絶対に、絶対に、絶対に、あきらめないことです。
心から応援しています。大変、お疲れ様でした。

追伸:
この研修会後に、次回の研修会が決まりました。
仕事で参加できなかったスタッフが、
「是非、私も参加したい」と声を上げてくださったとのことです。
2回目は、初回の経験を十分に生かしたテキスト作りが出来ます。
楽しみです。私も張り切って準備を進めています。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2007年09月11日 09:22

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