ＭＣプロデュース

葬儀司会が出来るようになるための研修会ですので、
「葬儀司会理論」の勉強は、もちろん避けては通れないものです。
しかしその他の内容は、新人葬儀スタッフに向けてのものとほぼ違いはありません。
葬儀司会者としての接遇は元より、葬祭業界に入って行くための心構え、
現場での心構え、周りのスタッフとのコミュニケーション、葬儀に対する考え方、
そして、司会者の実務、担当者や寺院様との打ち合わせや、式進行の詳細・・・等など。
テキスト作りもちょっと大変でした。
特に、実務の部分は皆さんが分かりやすいように、噛み砕いて作成いたしました。
これらは司会者であっても、言葉をしゃべること以前に、とても大切なことばかりです。
しかしながら、全員が葬儀の世界を知らないということは、
全てにおいてとても大きな壁でもありました。

特に女性が多いこのセミナーで、私がとても気になったのは、身だしなみです。
結婚式やお祝い事の司会が多い方は、
どうしても葬儀の現場でも、その華やかさが目立ちます。
もちろん、華やかさを求められる場所では、大いに着飾っていただきたい。
自分を見せることを求められている場所では、大いにアピールしていただきたい。
しかし、葬儀の現場は180度違います。
言葉も、身だしなみも、耳に届くものも目に見えるものも、
敢えて飾りたてる必要はなく、等身大で、シンプルに、
脚色の無いそのままの自分が試される場所でもあります。
そこにはやはり、葬儀司会に対しての考え方や、遺族やお客様に対しての尊厳、
向き合い方に、その司会者のそのままの気持ちがあらわれます。
そしてその気持ちが、身だしなみそのものに、表現されるのです。
大きな派手な色のカバン、光るものがついたスーツ、
つけ爪や色のマニュキア、濃い化粧、派手な靴・・・皆さんにとって、
日常の当たり前になっていることを見直すのは、とても難しい作業でしょう。
どこまで、葬儀司会に対してやる気があるかが試されるところでもあります。

それから大事なことは、司会などの派遣スタッフは、
遺族や会葬者等の外部のお客様以前に、
「葬儀社そのものもお客様である」ということです。
派遣の司会者に、上からの目線で物事を言われて、
感じがいいと思う葬儀スタッフはいないでしょう。
葬儀スタッフも人間です。
そのような、現場において最も大切な、
スタッフ同士のチームワークについても多く触れました。
顧客満足の精神は、そこでも必要とされます。

皆さんの今までのキャリアには、素晴らしいものがあるでしょう。
しかしそれを取り敢えずは、葬儀の現場に持ち込まないことが大切です。
どんなキャリアがあろうと、今、この場所で、
故人を送るにふさわしい司会が出来なければ、司会者としての存在の意味はありません。
「初心に戻って葬儀というものと向き合うことから、はじめていただきたい」と、
お願いをしました。

厳しいことをたくさんお話したかも知れません。
しかし、現場は思った以上に厳しい世界です。
やり直しの出来ない「葬儀司会」という仕事です。
もちろん切磋琢磨しながら、葬儀司会者として十分に成長して行ける分野でもあります。
だからこそ、あきらめずに、自分や周りに負けずに頑張って欲しいと思います。
今や、「葬儀司会の時代」がやって来ています。
頑張る人には、頑張っただけの未来が待っていると確信します。