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2011年01月28日

人体の不思議展の不思議(工場長こと古家寛)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

「人体の不思議展」で、トラブルが起きている。
展示されている標本が基本的には「死体」であり、
死体解剖保存法に抵触するのではないか?との疑いで、
警察が捜査を開始し始めたそうだ。

「人体の不思議展」といえば、生々しく精巧な人体標本の展示で目を惹くが、
その標本は献体された遺体から作られている。
プラスティネーションという技術で、
組織液(血液など)を合成樹脂に置き換えることにより、
臓器等を腐らせない状態で長時間保存できるそうだ。
そもそも遺体であるから、生々しいリアルな人体標本ができているのである。

日本では1996年から「人体の不思議展」が開催されている。
高校生の頃、友人が見に行った感想として「あれは犯罪だ」と言っていたのを思い出す。
「死体を展示しているのだから」と。
今、京都府保健医協会が刑事告発している内容とも似ていると感じるが、
当時から似たような批判は指摘されていたようだ。
日本で「人体の不思議展」が始まって15年近く経って、
ようやく警察が動き出した格好になる。

現在、遺体解剖保存法違反の疑いで捜査がされているが、
法律的な問題は、2点挙げられるだろう。
一つは、遺体解剖保存法の7条、17条~19条に書かれている、
「遺体の解剖、または保存は、遺族の了承が必要である」という点。
日本で展示されている遺体はほぼ中国人(の死刑囚)だが、
果たして本当に遺族から承認が取れているかは不明だそうだ。
主催者側は「遺族から承認を得ている」と主張しているが、
いまだ献体証明書は出てきていない。
不正な方法で献体、標本にされているのではないかという論点が1つある。

二つ目は、遺体解剖保存法の20条に書かれている、
「死体には礼儀をもって接すること」という点。
「人体の不思議展」で展示されている人体標本は、
奇抜なポーズを取らされたものもある。
また、人体を輪切りにしたり、筋肉繊維や血管を異常な形で強調した標本もある。

参考:人体の不思議展の画像検索(生々しいので閲覧注意)

果たして、この様な状態で標本にされる事を遺族が承認したのか、とも思うが、
例え承認が取れていたとしても「人として尊厳が守られているか」という疑問も残る。
一般人が、興味本位で、遺体を眺めている…というのは、
思い返せば異様な情景のようにも映る。

「人体の不思議展」には、既に累計で650万人が来場しているそうだ。
厚生労働省が「標本は遺体」との見解を示したが、
「遺体」を見ていたと思うと、多くの人が嫌悪感を示すのではなかろうか。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2011年01月28日 08:24

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