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2011年03月07日

自宅葬に回帰していくか(工場長こと古家寛)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

今後、少しずつ自宅葬が増える可能性があります。
もしくは、会館での葬儀であっても自宅にいるような親近感、
空間作りがより求められるかもしれません。
「葬儀についてのアンケート調査」を改めて見直してみて、
今後そのような傾向があるのではと気づきました。
少なくとも、葬儀専用の式場が一辺倒に伸びる時代は終わったかもしれません。

以下、2007年と2010年の「葬儀についてのアンケート調査」に関して、
【(実際に施行した)葬儀の場所】と【葬儀を行う望ましい場所】の
調査結果を引用します。
---

【(実際に施行した)葬儀の場所】2007年








 ・葬儀専用の式場・・・64.9%
 ・寺、協会・・・15.6%
 ・自宅・・・12.7%
 ・町内会、自治会などの集会所・・・5.1%
 ・その他・・・0.5%

【葬儀を行う望ましい場所】2007年








 ・葬儀専用の式場・・・67.6%
 ・寺、協会・・・10.8%
 ・自宅・・・9.8%
 ・町内会、自治会などの集会所・・・5.7%
 ・その他・・・4.5%

【(実際に施行した)葬儀の場所】2010年








 ・葬儀専用の式場・・・74.8%
 ・寺、協会・・・9.5%
 ・自宅・・・8.8%
 ・町内会、自治会などの集会所・・・2.7%
 ・その他・・・2.7%

【葬儀を行う望ましい場所】2010年







 ・葬儀専用の式場・・・69.7%
 ・寺、協会・・・8.9%
 ・自宅・・・10.3%
 ・町内会、自治会などの集会所・・・4.5%
 ・その他・・・5.0%

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このデータから、2点の考察をしたいと思います。

①この3年間、「葬儀専用の式場」での葬儀が10%増えた

【(実際に施行した)葬儀の場所】のデータ(2007年と2010年)を見てみると、
「葬儀専用の式場」の葬儀が10%も大幅に増えています( 64.9% から 74.8% )。
一方で、「寺、協会」「自宅」「町内会、自治会などの集会所」が、
およそ「葬儀専用の式場」で増加した分、減っています。
この3年間は、葬儀専用の式場への移行が大幅に進んだと読み取れます。


②今後は「葬儀専用の式場」が減り、
 「自宅」「町内会、自治会」「その他」が微増していく傾向か。

次に、2007年と2010年の【(実際に施行した)葬儀の場所】と
【葬儀を行う望ましい場所】を比較して見てみます。

2007年








項目【(実際に施行した)葬儀の場所】【葬儀を行う望ましい場所】
葬儀専用の式場64.9%67.6%+2.7%
寺、協会15.6%10.8%-4.8%
自宅12.7%9.8%-2.9%
町内会、自治会などの集会所5.1%5.7%+0.6%
その他0.5%4.5%+4.0%

2010年








項目【(実際に施行した)葬儀の場所】【葬儀を行う望ましい場所】
葬儀専用の式場74.8%69.7%-5.1%
寺、協会9.5%8.9%-0.6%
自宅8.8%10.3%+1.5%
町内会、自治会などの集会所2.7%4.5%+1.8%
その他2.7%5.0%+2.3%

まず、上記の表ですが、【(実際に施行した)葬儀の場所】と
【葬儀を行う望ましい場所】を並べて、さらに、それらの差を載せました。
それぞれ数値のサンプル数が違うので正確な比較ではないですが、
一つの目安として、この数値の差が少ないほど健全な状況と言えます。
(業者からの提供される葬儀の場所(供給)と顧客のニーズ(需要)がマッチしている)
しかし、数値に差があれば、現在の葬儀の状況に不均衡があると言えます。
例えば+に差であれば、現状より顧客の要望が高いため、
その後の葬儀の施行も増えていくことが考えられます。
逆に-に差があれば、今後の葬儀の施行は減ってくると考えられます。

実際、2007年の【(実際に施行した)葬儀の場所】と
【葬儀を行う望ましい場所】の差を見てみましょう。







 ・葬儀専用の式場+2.7%
 ・寺、協会-4.8%
 ・自宅-2.9%
 ・町内会、自治会などの集会所+0.6%
 ・その他+4.0%

町内会、自治会などの集会所を除いて、この差が、
2010年の【(実際に施行した)葬儀の場所】に影響していることが分かります。
差が+の項目は、2010年の【(実際に施行した)葬儀の場所】を伸ばしていますし、
差が-の項目は、減らしています。
つまり、顧客の葬儀場所に対する要望・ニーズが、
時間とともに実際の施行にも反映されていくことが分かります。

それで、2010年の【(実際に施行した)葬儀の場所】と
【葬儀を行う望ましい場所】の差を改めて見てみましょう。







 ・葬儀専用の式場-5.1%
 ・寺、協会-0.6%
 ・自宅+1.5%
 ・町内会、自治会などの集会所+1.8%
 ・その他+2.3%

となります。2007年の差の内容と、異なっています。
今回は「葬儀専用の式場」が大きく-に差が出て、
「自宅」、「町内会、自治会などの集会所」「その他」が僅かながら+に差が出ています。
つまり、これからの葬儀は「葬儀専用の式場」が減ってゆき、
「自宅」、「町内会、自治会などの集会所」「その他」が増える可能性があるということです。
家族葬と呼ばれる近親者による少人数の葬儀が増え、
会葬者が減ると、自宅で葬儀が出来ると考える人がいてもおかしくありません。
また、会館での葬儀の反動として、縁のある自宅や集会所で葬儀をしたいと思う人が
いると考えても、特に不自然な感じはしません。

もちろん、急に自宅や町内会での葬儀が伸びることありません。差も僅かですし。
しかし少なくとも、葬儀専用の会館さえあれば、
顧客を呼べた時代は終わりを告げそうです。
「自宅」や「集会所」にある+の要素を付加価値として取り入れていくことが、
今後の葬儀会館の課題になってくるのかなと考えています。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2011年03月07日 08:00

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