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2011年07月25日

答えがないのがサービス業(工場長こと古家寛)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

葬祭ディレクター技能審査に「接遇」ジャンルが出てきて、今年で5年目です。
接遇は評価基準がなかなか難しいのか、当初は「実演」のみでしたが、
年を追って「実技筆記」の課題内にも接遇ジャンルが含まれるようになりました。
常識的な素養も求められるようになり、
カバーする範囲も非常に広くなっている印象です。
それだけ、サービス業としての葬儀の側面が求められているということでしょう。

で、些細なことなのですが、葬儀概論を読んでいて、
「遺族、会葬者で身障者の方、高齢の方がいる場合には、
 案内したり、椅子を用意したり、率先して配慮します。」
と書かれていて、果たしてこれは正解なのだろうかと疑問が湧きました。

「率先して配慮する」という言葉が分かり難いのですが、
例えば、会葬者に身障者や高齢者を確認したら、
「式場にご案内いたしましょうか?」「椅子は必要ですか?」
などと声掛けをすることなのかと思います。

ユニバーサルサービス、という言葉があります。
FUNETのスキルアップ小試験でも関連問題を出すようにしていますが、
あらゆる人の立場に立って公平な情報とサービスを提供すること、
また、その心構えを持つことが、ユニバーサルサービスの基本です。
高齢者、身体に障害のある人、健常者と区別したりはしません。
全ての人に公平な情報・サービスが提供できているか、という点がポイントです。

話を戻すと、「率先して配慮する」ということが、
率先して「見守る」ということであれば理解できます。
身体障害者の方でも、特別な案内を必要としない人もいます。
高齢者の方でも、助けを必要としない人は多いはずです。
個々のお客様によって、置かれている状況もニーズも変わります。
ですので、個々のお客様が何が必要かまず見守る。
高齢者や身体障害者の方は、特に意識して見守る必要はあるでしょう。
でも、特別扱いするということではありません。
健常者と同じ公平なサービスを提供できることが重要で、
それ以上の特別扱いをするということではありません。

なので、
「遺族、会葬者で身障者の方、高齢の方がいる場合には、
 案内したり、椅子を用意したり、率先して配慮します。」
というのは、少し特別扱いをしているニュアンスが感じられるかと思い、
些細なことですが、少し気になった点です。

ま、個々のお客様によって、置かれている状況は違います。
接客・接遇に、何が正解だと提示することは非常に難しいことでしょう。
テキストに起こすのも、苦慮された分野だったのではないでしょうか。
細かな応対で教科書的な指南はナンセンスかもしれませんし、
常に臨機応変な対応が求められるものだと思います。
それこそ、「○○家の○○さんのところは・・・」と、
地縁のある人を普段から気に掛けることから、
「究極のサービス業」は始まっているのだと思います。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2011年07月25日 08:05

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