« 葬祭マネジメント学科 特別講座「表現力」終了 (井手一男) | メイン | フューネラルビジネスフェア2012 その1(工場長こと古家寛) »

2012年05月21日

仙台へボランティアの旅①(加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

浄土真宗本願寺派(西本願寺)東北教区災害ボランティアセンターに
ボランティア登録をして、4月初旬仙台へ行ってきました。
昨年7月に、中央仏教学院通信教育生同窓会のグループで、
3日間のボランティアをして以来です。昨年の7月は復興途上の作業でした。
夏の暑い中、宮城野区の寺院で庫裡の床下にたまった
「ヘドロのかきだし」というとても過酷な作業でした。
大変ではありましたが、今回はきれいになったその寺院にも伺えるので
楽しみに向かいました。

登録前夜に到着した私は、その夜だけは市内のホテルに泊まり、
活動の朝に災害ボランティアセンターに入りました。
東北教区ボランティアセンターは、
駅からは少し遠いですが仙台市内にありとても便利な場所です。
今回一緒に活動するメンバーが前夜のミーティングに出席してくれました。
翌日の活動はこのミーティングで決まります。
ボランティアが求められている場所、内容、人数が貼り出されて
活動する人が調整されます。

私たちのこの日の活動は「お茶会」です。
「お茶会」とは、主に仮設住宅に住んでいる方々が近くの集会所に集まり、
ボランティアが持参するお菓子やお茶をいただきながら
話をするイベントのことを言います。
要するに「おしゃべり会」ですが、私たちボランティアは、
カウンセリングマインドで向き合うことが求められます。
出発前のミーティングでは「傾聴の心得」をしっかりと確認しました。
①参加者の話の内容に関して「いい」「悪い」の判断をしない
②自分の意見を言わない
③ただただ聞いてあげる
④黙っていてもいいから、隣にいて、その方の気持ちに寄り添う・・・等など。
宮城県沿岸地域はまだまだ復興途上で、
ガレキの撤去など続けられている場所もあります。
しかし内陸部では、被災者の気持ちをサポートするこのような場所が
とても必要とされています。

この日は、午前中と午後に一か所ずつ、仙台の隣にある名取市に向かいました。
津波で大きな被害を受けた閖上げ(ゆりあげ)の近くでした。
テレビでも大きく取り上げられた、
名取川の氾濫で田畑も家も車も何もかもが一瞬で流された場所です。
私とお話をしてくださった女性からも、津波の時の直接のお話を伺いました。
テレビなどで聞いているお話も当事者から聞くことは初めてでした。
その方は
「津波が来て、屋根の上に逃げたけど、自分の周りでは
どんどん人が流されて、その人たちが、助けて!と
私に向けて手を伸ばすのだけど、助けようとすれば私が引っ張られて、
津波の中に落ちてしまう・・・だから、本当にたくさんの人を
助けることが出来なかったの・・・」
と、涙ながらにお話してくださいました。
私は「そうだったのですか・・・」と、大きくうなづきながら言ったきり、
次の言葉は出てきませんでした。

本当に多くの方々が、その時の壮絶な体験を
心の奥にしまいこんで生きているのだな・・・と痛感しました。
そして、震災後にはすぐには話せなかったことも、
時間が経つことでその体験が心の中から浮かび上がり、
言葉に出来るようになって来たのだと思いました。
それをただただ聞いてくれる人を皆さんは求めているのです。
それが「お茶会」の本質だと気づきました。

今回私は、自分のキーボードと手作りの歌詞集を持参して向かいました。
お茶会全体の1時間30分~2時間を分けて、最初の30分はおしゃべり、
その後30分~40分を歌のコーナーという繰り返しにして、
皆さんと歌を歌いました。

仮設住宅に住んでいて昼間そこに居る方々となると、
やはり年配の女性が多いです。
歌の好みも様々で、若い頃にママさんコーラスに入っていた方、
カラオケが好きな方、演歌が好きな方、歌には興味の無いかた、十人十色です。
なるべくご存じの歌を歌集にまとめましたが、
全員の方に向く歌といったらなかなか難しいです。
さっそく「美空ひばりが歌いたい」とリクエストもいただきました。
又、この会は、お話をすることが中心なので、
音楽を押し付けることが無いように、私はとても気をつかいました。

1日のボランティア活動終了後、夕方のミーティングで報告をしながら
「この私に、何が出来たのだろう・・・」と少し悩みました。
特別な何かをするのではなく、
人としてその方のお話に耳を傾けることの大切さと難しさを実体験しました。1
日をかけて伺った壮絶なお話を、
今度は私の心の中に留めて置くことがとても辛かったです。
その後、ご一緒した方々と仙台の街に出て、1日の体験をシェアしました。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2012年05月21日 08:08

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mcpbb.com/blog/mt-tb-funet.cgi/2396

(C)MCプロデュース 2004-2013 All Rights Reserved.