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2013年02月08日

ビューイング(工場長こと古家寛)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

アメリカの葬儀は、日本のように通夜葬儀の2日ではなく、
葬儀の1日だけだそうです。
ただ、亡くなった日の夜などに「ビューイング(viewing)」という、
近所の人や友人が遺体と直接対面する告別の儀式があるようです。
このビューイングという告別方法は、日本の直葬や1日葬においては、
参考にすべき点があると感じています。

変わるお葬式、消えるお墓【新版】」(岩波書店、2006年)
という小谷みどり氏の著書を読みました。
7年前の本ですが、葬儀事情が簡潔に纏まっており、
非常に読みやすい内容でした。
著者は先月の特報首都圏に出演されていて、
それで気になって読んでみたのですが、大変勉強になりました。

特に興味深かったのは海外の葬儀事情に関してで、
著書ではアメリカとイギリスについて書かれていました。
特にアメリカの葬儀事情を読んでいて、思う所がありました。

本を読んでいて2点、アメリカの葬儀の特徴を感じることができたのですが、
まず、アメリカの葬儀の特徴は、棺の値段が高いこと。
著書のデータは古かったので最新のデータを調べ直しましたが、
スチール製の棺が平均でおよそ25万円です。
 参照:ニュージャージーの葬儀の価格の平均値(2011年)
日本だと、高い棺もあるのでしょうが、
平均したら5万~10万円程度ではないでしょうか。
(ほとんどセット料金の内でしょうから、実感がつかめないですが)
そもそも「棺を選ぶ」という感覚が、
今の日本の葬儀ではほとんど無いかもしれません。

アメリカでは柩の種類も豊富です。
特に日本と大きく違うのは、スチール製の棺が多いということです。
アメリカは土葬が6~7割で、頑丈なスチール製なら
棺の形状を長期間保てるという心理が理由の一つに挙げられるようです。
また、アメリカでは多くの遺体がエンバーミングされます。
きれいな遺体に綺麗な棺、という心理も働いて、
棺が高額になる傾向があるようです。

そして、アメリカの約9割の人がキリスト教徒なので、
葬儀はキリスト教式が一般的。
ただ、日本のカトリックにおける通夜、プロテスタントにおける前夜式、
という風習はないそうです。通夜や前夜式は、日本独特の儀式なんですね。

その代わりとなるのが、「ビューイング」。
このビューイングは、前述しましたが、
亡くなった日の夜などに遺体と直接対面する告別の儀式のことです。
日本の通夜と同じかと言えば、根本的な考えにおいて違いがあります。
それは、ビューイングは「告別」を重視しているのに対し、
通夜は「宗教儀礼」という点です。

改めて考えて見ると、日本の葬儀は告別のタイミングが少ない。
一般的な通夜葬儀で考えると、
「通夜」+「葬儀・告別式」 ⇒「宗教儀礼」+「宗教儀礼・告別」
といった具合ではないでしょうか。
しかも、告別といったら出棺前の僅かな時間・・・のようにも思います。
もちろん、非公式に個別に遺体とお別れはしているのでしょうが・・・。

その点、アメリカの葬儀の流れは、告別のタイミングが日本よりもありそうです。
「ビューイング」+「葬儀・告別式」 ⇒ 「告別」+「宗教儀礼・告別」

今、遺族が故人とゆっくりお別れをするための「安置室施設」が流行っているそうです。
それは、アメリカのビューイングのように、
葬儀の前にも「告別」が重視されつつあるという表れではないでしょうか。
また、今の日本では遺族親族だけで、水入らずで故人とお別れをするということが
重視されているようですが、アメリカの「ビューイング」のように、
近所の人や友人も含めていくと、より良い方向になると考える訳です。

都心部では「直葬」や「一日葬」というものが増えているそうです。
「直葬」や「一日葬」の場合でも、「ビューイング」という考えを取り入れて、
儀式は1日でも、サービスは長く提供できた方が良いでしょう。
葬儀社の「サービス業」としての割合が増えていく傾向にも、
沿ったものではないでしょうか。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2013年02月08日 08:30

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