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2013年03月29日

カタクリが好きになりました (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

先日、私が通う病院の裏山が賑わっていた。
春の訪れに自生の「カタクリ」が小さな花をつけるからだ。
多くの人がカメラ片手に散策していた。
どうせあの片栗粉の「カタクリ」だろうと、
何が貴重なのかも知らぬまま病院の待ち時間に私も散策してみた。

散策しながらスマホで調べてみて分かったのだが、
あんかけ料理によく使い、美味いとしか思ってなかった「カタクリ」だが、
カタクリから片栗粉が出来るわけではなかった。
もの知らずの驚きである。

ウィキペディアによると

カタクリ粉。指で押すとキュッとした感覚のする白くサラサラとした粉、トロトロあんかけ大好き人間には欠かせない食材。家庭用だけで年間2万トンも消費されているという。ご存知の方も多いと思うが、現在売られているカタクリ粉の原料は、野に咲く「カタクリ」ではなく栽培した「ジャガイモ」である。

(ガーン!井手衝撃を受ける)
カタクリは高さ20cmほどの小さな植物。きれいな花が咲くけれど、小さいだけに鱗茎(りんけい:球根みたいなもの)からカタクリ粉を作っても、ほんの少ししかできない。カタクリ群生地のある栃木県佐野市でカタクリ粉等を生産する、(株)波里の黒田さんから頂いた資料によると、明治の頃まではその名のとおり、カタクリ粉は本物のカタクリから作られていた。その後北海道開拓でジャガイモ栽培が盛んになるにつれ、大量に採れ値段が安く、性質もよく似たジャガイモ製カタクリ粉がわ主流となって、大正中期にはほぼ100%がジャガイモ製に。しかし名前の方は「カタクリ粉」のままで、現在に至っている。波里さんのカタクリ粉もジャガイモ製だ。

ジャガイモ製なのにカタクリ粉と呼んでもいいのか。「全国片栗粉組合連合会」会員、三幸食品(株)の斉藤さんに聞いてみた。 「はい。農水省にも認められた商標です。似たようなものに、くずもちがあります。本来のくずもちは本くずから作るものですが、関東のくずもちは小麦のデンプンを寝かせたものが原料ですよね。ワラビ餅もそうです。本来は山菜のワラビの根から作るのですが、甘藷(サツマイモ)のデンプン製が多く、最近ではタピオカベースのものまであります」 とのことで、カタクリから作っていなくても、カタクリ粉と言ってよいのだそうだ。
(ガーン!またまた井手衝撃を受ける)
では現在、「元祖」であるカタクリ製カタクリ粉は手に入るのか。再び斉藤さんに聞いた。 「商業ベースでは全く生産されていません。微量しか採れない上に、カタクリは貴重な植物で、群生地は保護の対象になっていますから」 入手は不可能と言えそう。こうなったら自分で育てて……なんて考えてもみたけれど、カタクリは種から花が咲くまでに4〜8年かかる。花もかわいい。手塩にかけて育てたものを引っこ抜いて粉にするなんて、とてもできそうにないです。

いい勉強になった。だからスマホはやめられない。
では、何故多くの方が自生するカタクリを観に集まるのだろう。
それは、カタクリが「Spring ephemeral(スプリングエフェラメル)」
だからである。
Spring ephemeralとは、またまたウィキペディアに頼ろう。

周りの木々が葉を開く前の早春に茎や葉を地上に出して花を開き光合成を行い、木の葉で陰になる初夏には地上部が枯れてしまい、地下の根茎や種子で後の季節をひっそりと暮らす植物を指す生態学的な言葉です。そのはかなさ故に「Spring ephemeral」とも呼ばれます。ephemeral(エフェメラル)とは、カゲロウなどのように、現れてすぐ消える短命な生き物のことをいい、カゲロウの学名の一部(Ephemeron)にもなっているそうであります。春の日の夢とでもいうような生物を指す言葉です。

知ってる人の方が多いけど、ここでもウィキペディアを。

カゲロウとは永く存在することの出来ない儚き生物である。カゲロウは昆虫であり、成虫になってからその日一日を生きるのがやっととされ、昆虫の中でも寿命が短いと言われるセミよりも短い生涯を送る。しかも、一部生物にとってはカゲロウは絶好の捕食対象であり、その日一日すら満足に生を全うさせてくれないのである。挙句にフライフィッシングのえさにされるなどその尊厳は虫けらのように扱われる悲しき生命である。

病院の待合室で、これだけの勉強ができるのもスマホのお蔭だ。
春になって草花が芽吹く前に、いち早くその命を輝かせるカタクリ。
何故そうなのかを知ってしまうと、昨日までただの草花だと思っていた花が
何とも神々しく見えるから不思議なものだ。
それぞれ「命」だからね、いとおしいなあ。

≪お知らせ≫

来たる4月2日~5日、第60回萩原春の東京展示会におきまして、
石川が講師を担当する「葬儀司会講座 初級~中級」が開催されます。
参加費は無料です。ぜひこの機会にご参加ください。

4/2(火)PM1:30~
初級講座【ステップ1】より 葬儀司会の要「進行アナウンス」を上手に読む方法

4/3(水)PM1:30~
初級講座【ステップ2】より 葬儀で「弔電」を上手に読む方法

4/4(木)PM1:30~
中級講座【ステップ1】より 聞き手に伝わる「ナレーション」の表現技術1

4/5(金)PM1:30~
中級講座【ステップ2】より 聞き手に伝わる「ナレーション」の表現技術2

[会場]
東京都立産業貿易センター 台東館4階
東京都台東区花川戸2-6-5

ご案内はこちらから

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2013年03月29日 08:30

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