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2006年10月09日

葬儀司会研修会【ベーシック講座】(井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

千人針です。

出征兵士の武運長久を祈って、1枚の布に千人の女性が赤い糸で、
ひと針ずつ縫い付け、千個の縫い玉を作ったものです。
だから「千人針」を別名「千人結び」とも。
「虎は千里を行って千里帰る」の故事からきているらしい。
この写真は、千人針の腹巻でしょうか。(ちと調査不足)
はじめは、寅年生まれの女性(強いからね)の手によって、
赤い糸で結び目をしっかり留めてあるのが一般的だったようです。
厄年に赤いものを身につけたりしますので、
日本人の赤い色に対する考え方が反映しているのでしょう。
多数の人の力を合わせて目的を達成させる合力祈願ですね。
ところで納棺時の死装束はこれの逆。
白い糸で結び目を留めず、故人と縁のある女性の手で引っ張り縫い。
結び目を留めないのは、完成形を嫌い、
糸尻を留めない引っ張り縫いは、忌の分散を狙ったものでしょう。
とまあ、ここまでは講座の中でも雑談しますが。
では、タイムショック!
戦死された方の遺品の中から出てきた千人針に、
五銭と十銭の硬貨が縫い付けてあったらしい。
なーぜだ?(チチチチ…)

これは、死線(四銭)を超えると、苦戦(九銭)を乗り越えるため…
分かった人いる?
誰か六文銭の代わりだなんて答えなかった?
縁起でもないですよ。

ではレポートを。
やはり…そうだったのか、というのが講座終了後の感想だ。
司会未経験者の方が、あっという間に上手くなる。
この傾向は、年を追う毎に益々顕著になっているようだ。
これが【ベーシック講座】の最大の特徴。

全国からお集まり下さった19名。
司会未経験者が結構混じっている。
最近は教育担当の方も参加されるケースが多くなった。
私の研修方法は、19名相手に教えるというよりは、
1対1の19バージョンという考え方。
個人レッスンの集合型研修という何やら相反する表現だが、
講座のイメージを表すならば、この言い方が最も適当だと思う。
これを10年続けてきているので、司会矯正の処方経験が私の財産。

司会業務の取り組み方、データの取り方・活用の仕方など、
解説の部分が終われば発声練習からすぐに実践モードに突入。
午前中の終わりから昼食を挟んで、午後はずーとマイクトレーニングの嵐。
進行アナウンスのコツ、弔電の読み方のコツ、
そしてアナウンスを補佐する短いイメージショットのコツ。
大きく3点に的を絞り、最後は各自が課題を選択し発表するコース。

受講者はお互いのアナウンスを一日中聞き合っているから、
みるみる上達していく人を間近で見ることになる。
午前と午後とでは、同一人物とは思えないほどの、
上達振りを見せつける人も決して珍しくはない。
きちんと表現の理屈が分かれば、後はひたすら実践のみ。
私は各自の可能性を引き出してあげるために、
そして表現のイメージをより具体的に捉えて欲しいがために、
何度も何度も繰り返し実践してやるだけ。
疲れるけれど、上達振りが手に取るように分かるので嬉しい。

たった1日研修で急成長。
大変なことだけど、これをやらなければ意味がない。
今後もベーシック講座のテーマにするつもりだ。
(疲れたから今年はもうやらないよ)

それでは恒例の、受講者から教えてもらった各地の面白習俗シリーズ。
京都のある地域では「四十九団子?」っていうのかな。
藁で作ったかなり丈夫な飾りに、団子を四十九個盛ってあるらしい。
一つの団子は小さいらしいが、それでもそれなりの重みになるはず、
なんだけど、藁の飾りが結構丈夫になるように工夫してあるとか。
これも地域の面白風習だ。
京都は真宗強いでしょうと聞くと、さすがに真宗ではやらないらしい。
でも浄土宗ではやってるらしいね。
ご本尊が同じ阿弥陀仏なのに…この辺が宗教の懐が深いというか、
全くいい加減というか、非合理的というか…まあどうでもいいや。

またお葬式で赤飯を炊く地域は多いが、福島県にも存在した。
昔は忌明けまで料理が出来ないので、保存食が重宝されたから…
という説と、元来赤飯は薬膳だからという説も出ていた。
お葬式で、もち米を使う地域は全国にあるようだ。
喫煙ルームの雑談は話題の宝庫だね。
一般に食事の火は、死者が出た家のカマドは忌が掛かっているので仕えない。
だから別宅(隣近所)のカマドを使わせていただくことになる。
そのカマドの火で炊いた飯は、お手伝いの人達が食べるのだ。

撒き銭(まきせん)での面白い話。
自宅での葬儀が多い地域では結構残っている風習だが、
最近は小銭を拾ってくれる人も少なくて困るようだ…と私が言ったら、
茨城の参加者から面白い話が飛び出した。
何やら、撒き銭で食べている人もいるらしいと…
「それはオーバーでしょ」と言えば、
「プロになったら、一日五千円位になるらしいですよ」だって。
撒き銭拾うプロかい?
…凄いねえ、茨城は。
しかも彼が内緒で教えてくれたのは、自分が司会をしていて、
5百円玉が足元に落ちてきたら、そっと踏んづけて後で拾う…らしい。
面白すぎるよー!
他の司会者も言ってましたけど、五百円玉が近くに落ちてきたら、
「やっぱり、目が追いかけます」って。
皆さん取材には正直で好いねえ(笑)
一般に撒き銭はその日に使っちゃいけなくて、
土の中に一日入れて清めてから使う地域が多いのだが、
その地域では、宵越しの撒き銭は持っちゃいけないとか…
「江戸っ子かよ!…茨城なのに」と、突っ込んでおきました。

それから、全国的に北の方に百万遍念仏が根強く残っているようでした。
もう東京では東北出身の遺族に見られる程度ですね。
地域の習俗は大切にしたいものですなあ。

最後にもう一丁クイズでっせ。
付き合っている男女。
彼女の部屋を訪問すると2枚の銭貨が置いてあったという。
なーぜだ? (チチチチ…)


(後方テーブルに並べられたユニコムさんの関連商品群です)

一線(一銭)を超えてね!(落ちでーす)
明日は、【キャリアアップ講座】のレポート。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年10月09日 00:06

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