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2004年10月30日

濃縮された遺族の想い(井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

『ありがとうございました・・・』と深々と頭を下げられた。
その声は、心の底から絞り出された声だ。
喪主様が、男泣きの涙を拭おうともしない。
こちらの方こそ、喜んでいただけて本当にありがたい。

6時からの通夜に間に合うように、4時30分頃式場を訪ねた。
ご挨拶の後、早速FUNET追悼文をお渡しする。
食い入るように読んでおられた喪主様の目から涙が・・・。
そして押し殺した嗚咽が漏れる・・・。
読み終えて、深く息を吐き出し、お礼の言葉を述べてくださった。

用意したFUNET追悼文が受付に置かれ、記帳された弔問客に配られる。
物珍しさもあるのだろうが、皆さんが読んでいる。
そして、開式前の式場がシーンと静まり返った。



FUNET追悼文に目を通しながら、すすり泣く人もいた。
「遺族の故人への想い」が参列者に伝わっている。
「故人を偲ぶ」水先案内人をFUNET追悼文が果たし、ご参列の方々に
故人が偲ばれているのだと思った。

FUNET追悼文は、白黒のコピー1枚だ。
安価なだけに、見た目が豪華なわけではないし、パッケージのクオリティは低いだろう。
しかし、葬儀で人の琴線に触れるものは「想い」である。
「想い」とはイメージ、つまり「思慕」ということだ。
濃縮され、たった1枚の紙に込められた、故人への思慕に溢れているのが、FUNET追悼文であるということを確信した。

司会以外で現場に入るのは久しぶりだ。
視点が違うので違和感を覚えたが、普段は気づかない点が見えて勉強になる。
外に出たら、すっかり夜の帳が降りて、頭上では白い月が仄かに輝いていた。
遠くまで来た甲斐があった。

人生の 行方いずこと たずぬれば
    母待つ里に 光りほの見ゆ

心からご冥福をお念じ申し上げたい。



FUNET追悼文サンプルをご覧になりたい方は、
こちらからどうぞ。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2004年10月30日 00:26

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