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2009年06月11日

価格破壊か適正価格か (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

一般に<お求めやすい価格>という言い方があり、実際よく耳にします。
でも厳密に言えば、これは誤った言い方なのではないでしょうか。
どのように修正しましょう、皆さんもお考えください。
(答えはラストに)

さて、最近は何でも価格破壊ということで、常識的な値段というのがわからない。
特にサービス業では、判断基準となるサービスの中味の違いが判り辛いからか。
そこで、今ブームの1.000円カットに焦点を当てよう。
「QBハウス」や「カットファクトリー」や「3Q CUT」の名称で、
フランチャイズ展開をし、昨今は凄い人気を博しています。
10分でカットして料金は1.000円程度という触れ込みだが、
都心部では店の中から、時には外までズラリと行列が並び、
(あれじゃ10分では終わらないし、意味がない)と思って眺めていた。

ところがある日、銀行に行った帰り・・・丁度1.000円カットのお店の横を通ったら、
店の中には誰もいない・・・フフフ、平日の昼間、オヤジは働いているものだ。
「・・・チャンス」神か仏か知らないが、「そこを曲がれ」と私の背中を押し、
「さあ、入れ」と自動ドアの前に立たせた、何か?があった。
おおっ、これは平成の7不思議の一つに数えられるだろう。
(後の6つは勝手に作ってね)

勇気を奮って入ってしまうと・・・実は初めてなので勝手がわからない。
取り敢えず、簡易の長椅子に腰掛け店内を眺めていると、店員が普通に、
決してぶっきらぼうということもなく、「チケットをお求めください」と。
そういえば入り口の隣に自動販売機があったなあ・・・と購入。
すぐにチケットに書かれている番号で呼ばれた。
(だって人がいないのだからね)
椅子に座る。
(ほんとに10分で終わるんだろうな?)と心の中で思いながら、
「どうしますか?」・・・(へえー、一応希望を聞くんだ)
「揃えるだけでイイですよ」
「かしこ、かしこまりました、かしこ」とは言わなかったけど、
耳の横はこの辺でとか、トップはどうしたとか、後ろの襟足は・・・
(私、何も期待していないから、あまり気を使わないで)とも言えず、
適当に「はい、はい」と返事をしていた。

一人の席としての広さは、空間プロデュース的にも充分に確保してあるし、
シャンプーをしないという不潔さを補うためだろう、原則、使い捨てのグッズが多い。
(清潔かもしれないけど、勿体無いという言葉を知っているのだろうか)
店内は、白がベースのコンセプトで店舗作りをしている印象。
カットしている間、私は話しかけられたくないので、なるべく寝たフリをして黙る。
黙ると、耳だけが冴えて「ジョリ、ジョリ」とカットの音だけが。
(オイ、もしかして揃えるだけって言ったのに、切り過ぎてないか)
不安が頭を過ぎったが、目は開けないで我慢した。
(チキショー失敗したよな、1.000円だから仕方ないか)
何分たったか分からないけど、「10分以上になったから追加料金です」
なんてこと言われたりしたらどうしよう?
しかも追加の10分が5.000円だったりして・・・オカシイ。
色々と想像するのが、結構面白くなってきた。
「はい、完成です!」
と言われて目を開けてみたら、モヒカンだったりして・・・オモロイ!
想像は尽きないねえ。

すると突然、天からの声が、
「はい、終了しました」
目の前には時計が置いてある・・・ワザとらしいな、とは思ったが確認。
(オッ、9分)
鏡を見て確認するが、別段、下手だとは思わない。
少し、感心してしまった。
早い、早いよ兄ちゃん。(葬祭ディレクター試験の1級幕張と変わらない時間)
正直、また来たいと思う。

この10年程の間に、電気店はポイント制導入が定着して価格がグーンと下がり、
寿司屋は、回転寿司や出前寿司が凌駕して、寿司そのものに対する感覚も変わった。
(昔は、寿司と言えば高級品だったのである)
100円ショップでは、どんなジャンルも揃っているのではないか、と見紛うばかり。
「どうせ置いてある商品は100円なんだろう」の認識から
「えっ、これが100円なの?」というほど、豊富な品揃えに唖然としてしまう。
この頃から、適正価格って一体どうやって決めていたのか?との疑問が。

理髪店の値段は、普通の調髪で4.000円程度らしい。
これは地域の組合で相談して価格が決められるそうだ。
利幅を見ると、夫婦共働きだとして、8時間労働、1日平均10人の客だとしよう。
一日の売り上げは40.000円、月25日稼動で100万円の売り上げ。
家賃、光熱費、水道代、シャンプー代などを引くとして、経費を40%にすると、
残りは720万円であり、夫婦だから一人当たりに換算すると360万円。
ちょっと計算が大雑把だけど、大変だよね。
それなのに1.000円でやり始めた業者が数社あるということは、
何かがないと、カラクリがないと、おかしいよなあ。
一体、どんなカラクリがあるのでしょうか、消費者としての興味は尽きません。

葬祭業界も、「価格破壊・適正価格」への道に向かっているでしょう。

では、最初の質問の答え。
<お求めやすい価格> ⇒ <お求めになりやすい価格>

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2009年06月11日 09:00

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