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2006年11月02日

女性だけのための病院(加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

東京では、数年前からまず私鉄に女性専用者という車両が登場した。
1両全部、女性しか乗れない車両だ。
はじめの頃は終電時に運行される私鉄に登場したような気がする。
ものすごく好評で、その後JRにも登場した。

私が使う駅からも、朝9時18分までは、
その駅を出発する快速電車の1両目に女性専用車が登場した。
ホームの足元にはピンク色の女性専用乗り口がある。
私も朝、仕事で出かける時には必ずそれに乗る。
大きな荷物を持っている時も、割合空いているので便利だ。
乗っている感じは、周りは全部女性なので、
女子大のスクールバスにでも乗っているような雰囲気だ。
朝なので若いOLさんたちが多い。
私は母親のような気持ちでその女性たちを見守る。
なかなかの乗り心地である。



ところがつい先日この電車に乗った時、
何を間違えたのか、おじさんが一人乗っていた。
多分、東京の人では無いのだろう。
「気づかない」ということは幸せなことだ。
私は一瞬教えてあげようかと思ったが、離れていたし、
周りの女性も何も言わないので、そっと観察していた。

「知らない」ということは幸せなことだ。
専用車であることを知らないこのおじさんは、
周りが女性ばかりなので、結構うれしかったのかも知れない。
それを不思議に思わないところが、大きな間違いなのだが・・・。
そのとき私は新宿で降りたが、新宿では随分混み合ってきて、
その後白い目で見られたかも知れない。
あれだけ窓ガラスにも、ピンクのシールが貼ってある電車なのに、
気づかないものだなあ・・・と、逆に感心してしまった。
地方の男性の皆さん!
東京に出張に来たら、朝の1両目、ピンクのシールには、
くれぐれもお気をつけください!

先日、その女性専用車両に乗って飯田橋まででかけた。
ここに「こころとからだの元気プラザ」という女性専用の病院がある。
日本で初めての本格的なトータルウィメンズクリニックとのこと。
人の臓器だけを見るのではなく、
一人ひとりをオーダーメイドで診るという病院だ。
1階から6階まで名前がついている。
2階は森のフロア、3階は海のフロア、4階はアジアンリゾートのフロア、
5階は空と大地のフロア、そして6階が女性専用の天使のフロアと、
名前がつけられている。(どこかの葬祭ホールのようです)

その6階が、受付から看護師、医師まで、すべてが女性だけというフロアだ。
うたい文句も「メルヘンチックなエンジェルアートがお迎えする女性専用の
フロアです。プライバシー性の高い空間と心地よいヒーリングミュージック
で居心地の良さを追求しました」と書いてある。

それこそ、ここに男性が入ってくれば丁寧にお断りをされるだろう。
他のフロアには男女の外来診療科があるが、この階だけは女性専門。
健康診断もやっているので、待合室にいると、
次から次へと周辺の会社のOLさんたちや老若女性が入ってくる。


 


1階のエントランスは、ホテルのような雰囲気でとても広くて明るい。
受付では、入ってくる人一人ひとりに係が挨拶をしてくれる。
ロビー横では、アートの個展をやっていて、素敵なオブジェが風に揺れている。
6階女性専用のロビーは、まるで応接室のようだ。
洋家具や、籐の椅子が置いてあるし書籍も多い。
椅子は、他人と目が合わないような配置になっている。
自由に飲めるコーヒーやお水が置いてあって、
自然体でゆったりと過ごすことが出来る。

廊下がまっすぐではなく、壁は曲線を描くようにデザインされている。
人の目を気にすることなく、静かにすごせたことはとてもよかった。
壁の色、素材、デザイン・・・。
女性が好むようなおしゃれな空間だった。
診察室も、個人が大切にされていると感じた。
私が入った診察室には、おしゃれな洋家具が置いてあった。



そしてその良さは、ハードばかりでは無い。
検査を担当した看護師も、女性の医師も、
コミュニケーションがトレーニングされていると感じた。
診察や検査では必ず行われる「説明」「患者の理解」「その確認」が、
きちんとなされていた。

女性の目は厳しい。
特に病院内の清潔感、スタッフのやさしさ、親切さ、
それを気持ちだけではなく、言葉や動きで表現してほしい、
自分を見て欲しい・・・と思っている。
そういう気持ちに十分に応えてくれる病院だと感じた。
病院とは、頻繁に行く場所では無いだけに尚更その印象は強い。
とかく病気だけを見て、人を見ない医療への不信は多い。
私にとって「病院の中で大切にされていること」を実感できる場所だった。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年11月02日 00:00

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