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2009年05月07日

大阪での葬儀 (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

もう15年以上前の話になるが、私は大阪のある地域で母親の葬儀をした。
その頃すでに、東京で葬儀関係の仕事をしていたから多少の事はわかっていた。
大阪はホントに大都市なのに、良く言えば庶民的で飾り気がない。
逆に飾り気がないのを良いことにして、どうかすれば失礼に近い感じも受ける。
だが、「郷に入っては郷に従え」だ。(♪ジャパーン♯♪…えっ、違うだろ!)

私の記憶に残っている驚きの顛末とは…。
先に申し上げておくと、そこの葬儀社だけのことかもしれない。
いや、きっと多分そうだろう…と信じたいし、そのはずである。

その日、母は突然死だった。
朝起きたら、冷たくなっていたのである。(これは伝聞である)
連絡を受けた私は、すぐに大阪へ向かった。
当時私は神奈川県の川崎に住んでいて、夜通し大阪まで車を飛ばした。
明け方大阪に着き、まだそのままだった母の死に顔を見ると…
多くの人の死を見てきた経験からか、母のケースは心臓病による死去を疑った。
それなりの所見が出ていたのである。(少し、専門的な話をしてスマン)
行政解剖であるから警察の到着を待っていたが、警察が到着すると、
「検案が始まるので、皆さんは部屋から出てください」と言われた。
そして親戚の皆は出て行ったが、私は自分が息子であることを告げ、
警察による検案を見学させて欲しいと頼んだ。
まあ色々とあって、身内は見ない方が…とも言われたが、
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
立ち合わせてもらったのだが、結局は解剖ということになり病院へ搬送。

その後、業者とは葬儀の打ち合わせを済ませていたら解剖が終わった母が帰ってきた。
母を搬送してきた業者が、警察にご迷惑をお掛けしちゃって、
「出来たらおまわりさんに心付けを…」と、言った。
警察はここにはいない。(当然である、母だけ帰ってきたのだ)
警察に…!?…おかしい…が、色々とあったのだろう。
ましてや私は喪主ではない、でしゃばっても…と思ったことは記憶にある。
その葬儀社は、警察官二人だから「2万円」と、はっきりと覚えている。
きっと喪主は、手渡したに違いない。

似たような経験があった。
川崎の業者に人材で通っていた頃、ビルの5階から落ちた人が死亡した。
解剖になり、事件性も無いということであった。
(解剖のお世話も葬儀社の仕事であった、因みに私が担当した)
身内は四国にいるから時間が掛かる。
その間、葬儀社を中心に遺体の安置場所などを手配した。
四国から到着した身内は、恐縮しながら警察へ立ち寄り手続きを済ませる。
その後は、葬儀社指定のお寺に預けてある遺体を引き取り、さあどうしょう。
結局、葬儀もその寺の住職に依頼した。
その後2日間、問題なく通夜・葬儀を終え、拾骨後また四国へ。
その最後の時、葬儀社の担当者が、長々とお礼を述べる遺族に向かって、
「この後、お世話になった警察にも一升瓶を持ってお礼に伺います、
もし宜しかったら1万ほど包んでもらえますか」
遺族が断るはずもない。
その後、この担当者がどうしたか私は知らない。
恐らく一升瓶は買っていないし、心付けも渡したりはしていないはず。


ところで大阪の葬儀の印象だが、親族は全て氏名焼香となるから、
指名焼香順位帳を渡され、長老から姪や甥や、嫁の下の名前まで確認し、
名簿の準備に追われたし、最後に留め焼香として町内会長の名前まで。(知らんわ)
そして町内会館で執り行われたのだが、男は立礼、女は座礼と案内された。
郷に入っては郷に従え(♪ジャパーン♯♪…またかよ)。
いやあ、大変だったねえ。
幕張は、京都から専門の職人を呼ぶということで6万円。
つぶさに見たけど、それほどでもないね。
(というか、ホントに京都の職人かどうかも怪しかった)
返礼品を配っている身内の後ろに葬儀スタッフが控えていて、
「ありがとうございます」と、その都度大きな声で。(東京にはない)
また香典の水引が黄色と白で、これは九州と同じだった。
関西圏から西は黄白が多い。
因みに式場幕も九州では黄白を使っていた。
礼状を入れる袋(封筒)の後ろの所が、内側に入っていたのも珍しかった。
(この作業は、大変じゃないか)
葬儀社で頼んだ坊主の奥様がフィリピン人というのも大阪らしい。
(これには少し笑った)
通夜の後、坊主が「明日は家内も一緒に」と申し出があったが、
葬儀社さんは、「いりません」と、きっぱり断っていた。(きつい)
お布施の額も、葬儀社が決めていた。(かなり安かった)
僕としては、フィリピン人の奥さまの、片言の日本語によるお経を聞いてみたかった。
大阪の葬儀社さんは、お寺さんに対して強いなあと思ったのを憶えている。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2009年05月07日 09:00

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