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2010年02月02日

「お金無くても、お葬式を」(工場長)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

「お金無くても、お葬式を」という読売新聞の記事を見ました。
(本文は消されているようですが、
 グーグルのキャッシュから確認できますでしょうか。)

要約すると、葬儀代を出す金がないことを理由に、
宮城県登米市内の無職の男が母親の遺体を遺棄して逮捕された事件を受け、
市内のお寺が生活困窮者に向けた葬儀の相談窓口を設置した。という記事です。

窓口を開いたのは、市内22寺院でつくる曹洞宗の県宗務所第14教区(教区長:玉秀寺)。
檀家でなくても、葬儀代に困っている人には教区のお寺で供養を行い、
また他宗派の人の場合は他寺院に仲介するということです。
非常にお寺の善意が表れている記事だと思います。

一方で、葬儀と仏教の関係も良く表していると思います。
仙台では寺院の力が強いという話を聞きますし、
葬儀に対しても積極的に活動しているのでしょう。
本来なら、今回のような葬儀に関する貧困者救済窓口は、
葬儀関係者が前面に出て対応するべきなのでしょうが、
寺院が、仏教と葬儀の結びつきをゆるめない、
檀家離れを進めないようにする姿勢の表れとも取れます。
御布施は期待できませんが、
全体としては葬儀と寺院の結びつきのイメージを高めるのではないでしょうか。

また、この地域では、葬儀全体の流れに関しても、
寺院との結びつきを大切にしていると思います。
葬儀関係者から聞いた話では、
葬儀・火葬の後に態々寺院を訪問して供養するケースも多いそうです。
また、通夜は葬儀会館、葬儀は寺院というケースも良くあるとか。
以前、仙台の寺町を散策した際も、1日に2つの寺院で葬儀をしていたので、
この町は寺院での葬儀も多く施行しているのだなと感じたものです。

あと…、寺院の力の強さを示すのは、御布施の相場の高さにあると思います。
2007年の日本消費者協会の「葬儀についてのアンケート調査」では、
東北地域の寺院費用(御経料、戒名料、御布施)の平均額は68.8万円で、
全国的に最も高い地域になっています。
そういえば、仙台だけでなく秋田も寺院の力が強いと聞いたことがありました。
東北全体として、寺院の力が強い傾向にあるのでしょう。

また、寺院費用に比例して、葬儀費用の合計の平均額も、
東北が282.5万円と全国一位でした。
寺院の力が強く、それが葬儀全体の費用を押し上げているのであれば、
この地域の寺院が積極的に貧困層の葬儀を救済することは、
善意というより、強者の使命とも言えるかもしれません。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2010年02月02日 09:00

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