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2010年10月19日

心根の優しい・・・ (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

月刊消費者の10月号を見ながら、工場長とあれやこれや話していた。
葬儀費用に関しても、その内訳も様々に変化しているし、
またアンケートの取り方等についても議論した。
その中で、私自身のグリーフに纏わる話などを、さも高説の如く滔々と喋っていたら、
ふと・・・昔々の記憶が蘇った。
ということで月間消費者とは何の脈絡もなく、また関係もなく、
誠に勝手ながら昔の面白葬儀社編として<ある話>を紹介することにした。

今から遡ること20年前・・・自身のウエストが70台で展開し、
俳優と葬儀屋という二足の草鞋を履いていた頃、ある劇団で芝居(定期公演)をした。
確か出し物は「死神繁盛記」と「息子」だったか・・・写真が残っていれば出したいが。
場所は新宿のシアターサンモールだったような・・・曖昧な記憶・・・気がする。

「死神繁盛期」というのは、これまた葬儀社泣かせのタイトルだが、
確か死神の好物がお線香で、人が死んだらいつの間にか死神が枕元にやってくる。
そこでお線香の香りを嗅いで座っているということになっていた。
その死神が死者の枕元で、お線香のいい香りを嗅いでウトウトしかけた頃、
「それっ」と一気に布団の向きを逆にして、
つまり死神が死者の足元に座るようにすれば、
な・なんと・・・死者は生き返るというトリックになっていた。
頼りない記憶によれば、昔鬼太郎の妖怪漫画だっただろうか、
人には人生の長さに応じて蝋燭が燃えており、燃え尽きると死んでしまう。
だから、燃え尽きる前に、元気に煌々と燃え盛る新しい蝋燭と一気に交換してしまう。
その漫画のパクリだねっ、なんて思ったものだ。(ワッハハ)

そんな芝居を打つことになって練習に明け暮れていた頃、
勿論食べていけないので、レッスンのない日は全て葬儀社での派遣仕事に従事していた。
何しろ当時の日当は高い・・・バブルの終わり頃だから。
詳細は秘密。

その日も8時半に出社して社員の一番後ろで朝礼に参加し、
本日の私の担当部署を確認し、というのも、日によっては花屋部門に配属になったり
民間救急のスタッフの場合もあるし、葬儀部門で担当を任されることもあったから、
今日一日の運命が決まるという大事な朝のイベントであったのだ。
ところがその日はラッキーなことに、トラブル発生に備えたり、
急きょ入ってくるかもしれない仕事への対応がメインという、
つまり要請があるまで会社で待機ということだった。(最高の幸せ)
そこで同じように待機身分になった当会社の社員のA様と、
競馬の予想など雑務に勤しみながらのんびりと過ごしていた。
何気ない会話の中に、当然近づきつつある芝居の話にもなる。
彼ら社員は、私の出るテレビ番組をいつも気楽に見てくれていたのだ。
「今度は井手ちゃん、テレビにはいつ出るの?」
当時の私は、毎年10本程度の出演でしかも2時間ドラマが主流であった。
「○○月の第○土曜日とか、来週の金曜日の2Hです」とか言っていた。
試写を見たり、オンエアの日が事前に分かっているものだけは教えることが可能だった。
そんな時、「あのー実は・・・」と私は切り出した。
今度芝居をやるのだが、例の如く予算はない。
それぞれが有り合わせのものを持ち寄り(結局は自腹)ながらで苦労している。
私は、バイトの関係で、お線香や蝋燭が大量に手に入るのではないか?
そんな話を皆からされて困っているのだ・・・と。
そこで折り入ってお願いがあるのだけれど・・・この倉庫の床に落ちているものは、
捨ててあるものと解釈して、つまり所有権がないゴミみたいなものである。
だから私が、自由に持って帰っても平気か? みたいなことを言った。
A様は屈託なく大いに笑い、
「そんなことを言われてもなあ~、困るよなあ~、あ~困る困る~」
とウロウロ歩き、閃いたように
「たいして落っこちていないよなあ、うちの倉庫は綺麗だからさあ」等と言いながら、
あっちの棚、こっちの棚から次々にお線香や蝋燭を落としてくれた。
終いには私のリクエストにも応じてくれて、
「○○の絵蝋燭がいいですねえ」とか「○○の大蝋燭も見た目が良いなあ」とか、
それこそなんでも自由にである。
(遠い昔の話ですのでごめんなさい)
この日、私は芝居の小道具(消え物)を大量に手に入れたのである。
お蔭で講演は大盛況だったような・・・
因みに舞台には、行列でお馴染みのM弁護士も共演していた。
(当時から既に弁護士だったが)
20年前は、こんな葬儀社さんもいたのである。

講演の初日、私がチケットを差し上げたのは言うまでもない。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2010年10月19日 08:00

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