仙台から常磐線で亘理へ向かう。
所要時間は30分程度、各駅で7駅ほどだったろうか。
ローカル線の車内は昭和の雰囲気が感じられて懐かしい。
子供の頃は、こんな列車に乗っていたことが思い出される。
(もっと汚れた列車だったけど)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-1.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-2.jpg)
亘理からタクシーで蓮月季会館へ。
車中で運転手さんに聞いたところ、人口3万5千人程の街に葬儀社が4社。
葬祭ホールが4つ存在するという。 (これはかなりの激戦地区だ)
また東北にしては大雪が降ることが珍しく、寒暖の差も激しくない。
つまり比較的暮らしやすい街。
おまけに山が無くて平地が殆どだから(という意味だと理解したが)、
「どこにでも家が建ちますよ」と言っていた。
退職後の住居としてこの地に越してくる方も多く、
そのせいか亘理には多くの苗字が存在するのが特徴だとか。
噂だけど、JRの職員が退職後に住む地域は、過ごしやすい場所らしい。
…タクシーの運転手さんは、やっぱ情報源だわ、
…俺が探偵になったら、移動は絶対にタクシーでお喋りだね、
…等と考えているうちに到着。
(はっきり言って、今さら探偵にはなれません)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-3.jpg)
挨拶もそこそこに、玄関を抜けて直ぐに左折、そのまま直進して喫煙所へ。
うーん、清潔感溢れる感じがする。
(この第一印象は大切にしたい)
まずは一服…続けて一服。(フーッ)
(うわぁー生き返るわぁ)って、葬祭ホールの感想としては相応しくないか。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-4.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-5.jpg)
少し落ち着いた頃に、S館長登場。
電話やメールでのやり取りはあるが、会うのは久し振りだ。
(ムフフ)やはり、太ったな。
自分もそうだから言うんだけど、男は恰幅がなきゃね。
ここからはS館長の案内でホールのあちこちをパチリ。
彼自身が設計にこだわっただけに、興味深い話も聞けた。
まずはメインのホールから。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-6.jpg)
なるほどFUNETの追悼DVDに拘るだけのことはある。
祭壇左右には、それぞれ50インチモニターが設置されていた。
それから、可動式の42インチモニター。
もちろん3台同時放映で参列者を全てカバーすることができる。
(充実してますなあ)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-7.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-8.jpg)
追悼DVDは実際に使われたのを見せて頂きました。
FUNETシステムの扱いには手馴れた感じで、
これは文言入りのフルバージョンでしたが、制作時間は20分程度でしょう。
祭壇は、この日仕事が入っておらず休みの状態。
実は、祭壇の背景がガラス張りで透けているので、
祭壇を使わずに花祭壇だけで荘厳することも多いとか。
中央を大きく切り取って、外の自然との調和を心掛けているらしい。
これは4段祭壇で、幕板は全て竹で出来ている。
一段目の立ち上がり2尺半、残りの三段は全て尺上がり。
経机と焼香具もついでに。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-9.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-10.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-11.jpg)
DVDは開式前10分から7分間放映。
参列者は皆シーンとなり、見入っているらしい。
お陰様でとても好評のようだ。(ありがたい)
実はこのホールにはまだモニターがあり、ロビーに50インチ、
お斎会場にも可動式の42インチと、計5台も有していた。
ホールにいる全ての人が、必ず目にすることが出来る体制が作られている。
モニターの充実度にちょっと驚きました。
というのも、工場長の社葬レポート(会葬者1.000人)の時がモニター8台でしたから、
葬儀の規模を比較すれば、こちらの常時5台体制がいかに凄いか。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-111.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-222.jpg)
そして司会席のスペースに制御機能がついているが、
ここでの工夫は、影マイクで進行することも可能にしてある点。
司会エリアの脇に奥まった半畳程の場所を確保してあり、
椅子とマイクがセットしてある。
司会者の姿が見えない方が、映像や祭壇の写真に集中しやすいことも。
また経験の浅い司会者にとって、緊張緩和の効果もあるとか。
もちろん、後方には出入りのドアも取り付けられ機能的にも問題なし。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-12.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-13.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-14.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-15.jpg)
上記の2枚の写真は、左がお別れ用の柩の蓋置きと花バスケット。
右がエントランスに飾るウェルカムボード用。
葉っぱをあしらった鉄製のスタンドタイプの物は、
どちらも同じであるが、工夫次第で用途が違う。
葬儀以外の商品を、アイデア次第でいかに転用して使うのかがミソ。
遺族の控え室は2つあった。
こちらは25畳程の大きい部屋で、押入れには布団が5セット。
バスと洗面所、トイレ、そして簡単な調理も出来るキッチンが付いている。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-16.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-17.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-19.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-20.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-21.jpg)
遺族の控え室は、顧客満足での大きなポイントであり、
今や何処の会館を訪ねてもマッサージチェアや大型テレビ、
更には携帯充電器やインターネット環境までが整っていることが多くなってきた。
地域性もあるだろうが、機能的にもう少し設備を充実しても良いかも。
控え室の正面奥には、通夜の終了後に柩が安置され遺族と共に過ごすエリアが。
少しばかりお洒落なアジア風の荘厳だろうか。
下の写真がそれ。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-18.jpg)
シンプルだけど、清潔で広めに取られたロビーと受付周り。
式場左右の壁は、幕とライトと花で飾られている。
私は今回、このスペースにFUNETのヒストリーパネル11枚をご提案した。
簡単ですから、是非!
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-22.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-23.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-24.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-25.jpg)
下の左の写真は、第2控え室で15畳程の広さ。
右の写真は司式者(導師)控え室で、これと同じ部屋が襖を隔てて隣にもある。
僧侶は袈裟を着けてお手洗いには行かないので、控え室にはそれぞれにトイレも。
また、掘り炬燵タイプも考えたそうだが、テーブルと椅子のセットで統一。
この部屋は喫煙OKでした。(これだけでも導師になりたい)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-26.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-27.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-28.jpg)
これは法事用の祭壇。
ところが結構人気が高く「この祭壇をメインホールに飾れないのか?」
という要望が多いそうだ。
遺族や参列者のその気持ち、良く分かるね。
実は、私はこの翌日、仙台のすがわら葬儀社様のセミナーに参加し、
いくつか葬祭ホールを見学させてもらったが、
このタイプの祭壇をメインに据えた会場が結構ありましたよ。
菅原社長の熱い話はとても面白くて、祭壇飾りの下りでは、
「弊社のテーマは、祭壇が亡くなる日」ですから…てな感じ。
どうか蓮月季さんも柔軟に対応しましょう。(偉そうにスイマセン)
お客様の目線で見た、法事用祭壇はこんな感じです。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-333.jpg)
トイレの作りは、今はどこのホールへ行っても清潔ですから、
余り代わり映えしないけど、女子トイレに隣接してこんな部屋が。
小さなお子さんを抱えたお母さんが休む場所としても、また更衣室としても。
(ピンクが目に痛かったなあ)
この部屋は結構利用されるらしいですよ。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-29.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-30.jpg)
それでは、バックヤードを見ていきましょう。
私は厨房に関しては詳しくない。
そこでS館長に色々と教えていただいた。
ここの厨房は、簡単な調理が出来る程度のスペースである。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-31.jpg)
そして冷蔵庫、温蔵庫、冷凍冷蔵庫が下の写真。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-32.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-33.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-34.jpg)
それから上の写真、これは何?
見ただけで分かる人はかなり凄い。
私は最初、食器洗い機みたいなものかと思ってました。
結構葬祭ホールの厨房は見たつもりだけど、今までは気付かなかったのか、
それともお目にかかったことがないのかも。
「スチームコンベクション」と言うものだそうです。(初耳)
値段も伺いましたが…高価なものですな。
煮る・蒸す・焼くが出来て、揚げることは出来ないけど、
それに近いことは可能だそう。
ファミレスなんかには入っているそうですが、
葬祭ホールでも採用してる所が多くなってきたと教えてもらいました。
今、お斎の席や法要でも食事のテーマは、
温かい物は温かく、冷たい物は冷たく…ですからね。
(美味いものは美味く、不味いものは不味くってか…ごめん)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-35.jpg)
スタッフ専用通路は、一直線で会館の端から端まで繋がっていた。
様々な備品が棚やダンボールに、所狭しと置いてあるのは見慣れた光景。
ところが、ここにはスタッフ専用トイレがあった。(男女別)
スタッフ専用のトイレを有していないホールは多い。
S館長に設置の理由を尋ねると、
「葬祭スタッフだけなら館内のトイレも共有可能だけれど、花屋・返礼品屋など
出入り業者までを考慮した場合、お客様と同じトイレというのは少し無理がある」
…なるほどね、と感心してしまいました。
式場の準備・設営の作業の工程では、様々な職種・服装の人が出入りしますからね。
「スタッフがお客様と同じトイレを使わないと、汚れに気付かない」
という反対意見もあるようですが、そんなものは当番制で対応すれば済むこと。
低次元の発想には頭を抱えて苦笑いの様子でした。
何が大切なのかという優先順位さえ理解できない?…という意味でしょうね。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-36.jpg)
上の写真は、式場の左右に設えた生花用のフックです。
一般的に、異なるホール同士は互いの規格と違っているので、
割り込み・付け花を、そのまま飾ることは出来ません。(互換性がない)
しかし宮城県内は、偶然にも規格が統一されているよう。
その理由が面白い。
生花用のポットが、どうやら山形県内で作られているものが出回っているようで、
というかそれが主流だから、対応したらどの会館も偶然同じ規格になったらしい。
こういう話は現地へ行って、ゆっくり話さないと聞けませんなあ。
それではホールの外、ガラス張りの祭壇の後方にある人工庭園へ。
ウッドチップが敷き詰められ、フットライト等の仕掛けが。
まだ明るかったので、ライトアップが効果的ではなかったけれど、
6本の柱のトップに玉が一つずつ。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-37.jpg)
六道輪廻を意識して6つにしたらしい。
(天上・人間・餓鬼・畜生・修羅・地獄)
私がすぐに、ドラゴンボールみたいですねと言ったら、笑ってました。
下の右の写真は、本番では水が流れます。
三途の川かよっ?…とは聞きませんでしたけど。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-38.jpg)
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-39.jpg)
この日は残念ながら見えませんでしたが、祭壇後方のガラスの向こうには、
通夜の時には月が見えるそうで、なかなか雰囲気が良いそうだ。
祭壇の向こうの夜空には銀盆の月…ですか(いいね)
実はこの後は導師控え室で館長と談話。
(実は座ってタバコが吸いたいだけ)
時間が経てば日も暮れる…で、どや?
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-40.jpg)
大雪が降った日の写真も戴きましたので、どうぞ。
このように自然を上手に取り込めると、演出としては最高ですな。
![](http://www.mcpbb.com/blog/archives/061215-41.jpg)
ちと長くなりました。
明日は様々な祭壇実例写真を…。
つづく。