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2006年12月20日

葬祭会館「蓮月季」訪問1 (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

綜合ユニコム様が主催する、
「すがわら葬儀社『清月記』」家族葬時代の成長戦略研究」(タイトル長いよー)
を受講するために仙台へ。
前日入りの予定を組んだので時間的余裕があり、
旧知の仲であるJA葬祭わたりの葬祭会館「蓮月季」のS館長を訪ねた。
以前このホールで葬儀司会研修を予定していたが、
当日に通夜が入り急遽会場変更となったため、まだ訪れたことが無い。
「近くへ来たら是非一度」というお言葉に甘えて、図々しくも訪問させていただいた。
今日と明日は、その葬祭会館レポート。

仙台から常磐線で亘理へ向かう。
所要時間は30分程度、各駅で7駅ほどだったろうか。
ローカル線の車内は昭和の雰囲気が感じられて懐かしい。
子供の頃は、こんな列車に乗っていたことが思い出される。
(もっと汚れた列車だったけど)



亘理からタクシーで蓮月季会館へ。
車中で運転手さんに聞いたところ、人口3万5千人程の街に葬儀社が4社。
葬祭ホールが4つ存在するという。 (これはかなりの激戦地区だ)
また東北にしては大雪が降ることが珍しく、寒暖の差も激しくない。
つまり比較的暮らしやすい街。
おまけに山が無くて平地が殆どだから(という意味だと理解したが)、
「どこにでも家が建ちますよ」と言っていた。
退職後の住居としてこの地に越してくる方も多く、
そのせいか亘理には多くの苗字が存在するのが特徴だとか。
噂だけど、JRの職員が退職後に住む地域は、過ごしやすい場所らしい。
…タクシーの運転手さんは、やっぱ情報源だわ、
…俺が探偵になったら、移動は絶対にタクシーでお喋りだね、
…等と考えているうちに到着。
(はっきり言って、今さら探偵にはなれません)



挨拶もそこそこに、玄関を抜けて直ぐに左折、そのまま直進して喫煙所へ。
うーん、清潔感溢れる感じがする。
(この第一印象は大切にしたい)
まずは一服…続けて一服。(フーッ)
(うわぁー生き返るわぁ)って、葬祭ホールの感想としては相応しくないか。



少し落ち着いた頃に、S館長登場。
電話やメールでのやり取りはあるが、会うのは久し振りだ。
(ムフフ)やはり、太ったな。
自分もそうだから言うんだけど、男は恰幅がなきゃね。
ここからはS館長の案内でホールのあちこちをパチリ。
彼自身が設計にこだわっただけに、興味深い話も聞けた。
まずはメインのホールから。



なるほどFUNETの追悼DVDに拘るだけのことはある。
祭壇左右には、それぞれ50インチモニターが設置されていた。
それから、可動式の42インチモニター。
もちろん3台同時放映で参列者を全てカバーすることができる。
(充実してますなあ)



追悼DVDは実際に使われたのを見せて頂きました。
FUNETシステムの扱いには手馴れた感じで、
これは文言入りのフルバージョンでしたが、制作時間は20分程度でしょう。

祭壇は、この日仕事が入っておらず休みの状態。
実は、祭壇の背景がガラス張りで透けているので、
祭壇を使わずに花祭壇だけで荘厳することも多いとか。
中央を大きく切り取って、外の自然との調和を心掛けているらしい。
これは4段祭壇で、幕板は全て竹で出来ている。
一段目の立ち上がり2尺半、残りの三段は全て尺上がり。
経机と焼香具もついでに。



DVDは開式前10分から7分間放映。
参列者は皆シーンとなり、見入っているらしい。
お陰様でとても好評のようだ。(ありがたい)
実はこのホールにはまだモニターがあり、ロビーに50インチ、
お斎会場にも可動式の42インチと、計5台も有していた。
ホールにいる全ての人が、必ず目にすることが出来る体制が作られている。
モニターの充実度にちょっと驚きました。
というのも、工場長の社葬レポート(会葬者1.000人)の時がモニター8台でしたから、
葬儀の規模を比較すれば、こちらの常時5台体制がいかに凄いか。



そして司会席のスペースに制御機能がついているが、
ここでの工夫は、影マイクで進行することも可能にしてある点。
司会エリアの脇に奥まった半畳程の場所を確保してあり、
椅子とマイクがセットしてある。
司会者の姿が見えない方が、映像や祭壇の写真に集中しやすいことも。
また経験の浅い司会者にとって、緊張緩和の効果もあるとか。
もちろん、後方には出入りのドアも取り付けられ機能的にも問題なし。



上記の2枚の写真は、左がお別れ用の柩の蓋置きと花バスケット。
右がエントランスに飾るウェルカムボード用。
葉っぱをあしらった鉄製のスタンドタイプの物は、
どちらも同じであるが、工夫次第で用途が違う。
葬儀以外の商品を、アイデア次第でいかに転用して使うのかがミソ。

遺族の控え室は2つあった。
こちらは25畳程の大きい部屋で、押入れには布団が5セット。
バスと洗面所、トイレ、そして簡単な調理も出来るキッチンが付いている。



遺族の控え室は、顧客満足での大きなポイントであり、
今や何処の会館を訪ねてもマッサージチェアや大型テレビ、
更には携帯充電器やインターネット環境までが整っていることが多くなってきた。
地域性もあるだろうが、機能的にもう少し設備を充実しても良いかも。
控え室の正面奥には、通夜の終了後に柩が安置され遺族と共に過ごすエリアが。
少しばかりお洒落なアジア風の荘厳だろうか。
下の写真がそれ。



シンプルだけど、清潔で広めに取られたロビーと受付周り。
式場左右の壁は、幕とライトと花で飾られている。
私は今回、このスペースにFUNETのヒストリーパネル11枚をご提案した。
簡単ですから、是非!



下の左の写真は、第2控え室で15畳程の広さ。
右の写真は司式者(導師)控え室で、これと同じ部屋が襖を隔てて隣にもある。
僧侶は袈裟を着けてお手洗いには行かないので、控え室にはそれぞれにトイレも。
また、掘り炬燵タイプも考えたそうだが、テーブルと椅子のセットで統一。
この部屋は喫煙OKでした。(これだけでも導師になりたい)



これは法事用の祭壇。
ところが結構人気が高く「この祭壇をメインホールに飾れないのか?」
という要望が多いそうだ。
遺族や参列者のその気持ち、良く分かるね。
実は、私はこの翌日、仙台のすがわら葬儀社様のセミナーに参加し、
いくつか葬祭ホールを見学させてもらったが、
このタイプの祭壇をメインに据えた会場が結構ありましたよ。
菅原社長の熱い話はとても面白くて、祭壇飾りの下りでは、
「弊社のテーマは、祭壇が亡くなる日」ですから…てな感じ。
どうか蓮月季さんも柔軟に対応しましょう。(偉そうにスイマセン)

お客様の目線で見た、法事用祭壇はこんな感じです。



トイレの作りは、今はどこのホールへ行っても清潔ですから、
余り代わり映えしないけど、女子トイレに隣接してこんな部屋が。
小さなお子さんを抱えたお母さんが休む場所としても、また更衣室としても。
(ピンクが目に痛かったなあ)
この部屋は結構利用されるらしいですよ。



それでは、バックヤードを見ていきましょう。
私は厨房に関しては詳しくない。
そこでS館長に色々と教えていただいた。
ここの厨房は、簡単な調理が出来る程度のスペースである。



そして冷蔵庫、温蔵庫、冷凍冷蔵庫が下の写真。



それから上の写真、これは何?
見ただけで分かる人はかなり凄い。
私は最初、食器洗い機みたいなものかと思ってました。
結構葬祭ホールの厨房は見たつもりだけど、今までは気付かなかったのか、
それともお目にかかったことがないのかも。
「スチームコンベクション」と言うものだそうです。(初耳)
値段も伺いましたが…高価なものですな。
煮る・蒸す・焼くが出来て、揚げることは出来ないけど、
それに近いことは可能だそう。
ファミレスなんかには入っているそうですが、
葬祭ホールでも採用してる所が多くなってきたと教えてもらいました。
今、お斎の席や法要でも食事のテーマは、
温かい物は温かく、冷たい物は冷たく…ですからね。
(美味いものは美味く、不味いものは不味くってか…ごめん)



スタッフ専用通路は、一直線で会館の端から端まで繋がっていた。
様々な備品が棚やダンボールに、所狭しと置いてあるのは見慣れた光景。
ところが、ここにはスタッフ専用トイレがあった。(男女別)
スタッフ専用のトイレを有していないホールは多い。
S館長に設置の理由を尋ねると、
「葬祭スタッフだけなら館内のトイレも共有可能だけれど、花屋・返礼品屋など
出入り業者までを考慮した場合、お客様と同じトイレというのは少し無理がある」
…なるほどね、と感心してしまいました。
式場の準備・設営の作業の工程では、様々な職種・服装の人が出入りしますからね。
「スタッフがお客様と同じトイレを使わないと、汚れに気付かない」
という反対意見もあるようですが、そんなものは当番制で対応すれば済むこと。
低次元の発想には頭を抱えて苦笑いの様子でした。
何が大切なのかという優先順位さえ理解できない?…という意味でしょうね。



上の写真は、式場の左右に設えた生花用のフックです。
一般的に、異なるホール同士は互いの規格と違っているので、
割り込み・付け花を、そのまま飾ることは出来ません。(互換性がない)
しかし宮城県内は、偶然にも規格が統一されているよう。
その理由が面白い。
生花用のポットが、どうやら山形県内で作られているものが出回っているようで、
というかそれが主流だから、対応したらどの会館も偶然同じ規格になったらしい。
こういう話は現地へ行って、ゆっくり話さないと聞けませんなあ。

それではホールの外、ガラス張りの祭壇の後方にある人工庭園へ。
ウッドチップが敷き詰められ、フットライト等の仕掛けが。
まだ明るかったので、ライトアップが効果的ではなかったけれど、
6本の柱のトップに玉が一つずつ。



六道輪廻を意識して6つにしたらしい。
(天上・人間・餓鬼・畜生・修羅・地獄)
私がすぐに、ドラゴンボールみたいですねと言ったら、笑ってました。
下の右の写真は、本番では水が流れます。
三途の川かよっ?…とは聞きませんでしたけど。



この日は残念ながら見えませんでしたが、祭壇後方のガラスの向こうには、
通夜の時には月が見えるそうで、なかなか雰囲気が良いそうだ。
祭壇の向こうの夜空には銀盆の月…ですか(いいね)

実はこの後は導師控え室で館長と談話。
(実は座ってタバコが吸いたいだけ)
時間が経てば日も暮れる…で、どや?



大雪が降った日の写真も戴きましたので、どうぞ。
このように自然を上手に取り込めると、演出としては最高ですな。



ちと長くなりました。
明日は様々な祭壇実例写真を…。
つづく。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年12月20日 00:08

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