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2008年01月04日

渋滞学 (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

10年から15位前だろうか、大学の学部の呼称が大きく変わった。
我々の時代は単純で、そもそも文系と理系に大きく分かれ、
それこそ教育とか経済とか法律とか人文とか…であった。
現在大学の学部名を見て、一体何を学ぶ所なんだろうと思うことが多い。
いつの間にか、大きく変わっていたのである。(世の中の移ろいは早い)
ところが今日紹介する「渋滞学」は、物珍しい呼称だが、
何を学ぶ所かは一目瞭然であり、その中味が興味深いのである。

今月の日経サイエンスによれば、渋滞は車や人だけではなく、
インターネットの通信の世界でも、倉庫での在庫や棚卸の産業の現場、
さらにはストックとフローなどの経済現象でも、
あらゆるところに普遍的に存在するらしく(よく分かります)、
社会問題としての重要性を深めているにもかかわらず、その学問が存在しなかった。
そんな学問に注目した、東京大学の西成活裕先生の事が紹介してあった。

従来の物理学では、ニュートン力学の基本三原則、
「慣性の法則」・「作用反作用の法則」・「運動の法則」が前提だけど、
車の渋滞や人混みでは、これが全く成り立たないのだ。
人混みで相手を避けようとするのは、自分の心理的な意思が強く影響し、
強面の肩で風切るタイプの相手と、優しそうな人では、まるで違ってくる。
つまり、ニュートン力学の基本三原則ではなく、
自分の意思で行動する「自己駆動粒子」の運動を体系化しなければならない。

最近、高速道路での渋滞の原因を突き止めたらしい。
渋滞原因の五割は坂道渋滞で、これが第1位。
坂道で1台が遅くなると後続車が次々にブレーキを踏む。
「坂道だけど、ブレーキは踏まないでください」の看板が出せればいいんだけど。
トンネルの手前のブレーキもそうだ。
後続の車が次々と連鎖反応を起こし、それが渋滞に繋がる。
また一般に、車間距離が40メートル以下になると渋滞が発生する。
ところが人間は、割り込んだり、前に詰めたりして…結果的にそのことが、
全員の損に繋がっているということを、自動車学校で教え込めば良いらしい。
しかし今の時期、全国何処でもUターンラッシュ、渋滞覚悟の決死行であろう。
葬儀に例えるなら、大勢の一般会葬者が一気に焼香所に雪崩れ込む…
こんな光景たまにあるなあ…しかし、その渋滞が全員の貴重な時間を浪費している。
葬儀屋さんなら誰でも知っていることだよね。

渋滞学は、経済・組織・伝染病・流行・噂…とモノの流れに付きまとう。
今後の社会において、非常に役立つ学問だと思った。
「万物は流れ、流れれば必ず滞りが生ず」
奥が…深いねえ。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2008年01月04日 09:26

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