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2005年10月25日

1泊2日の司会講習 (井手 一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

第1回目の1泊2日司会講習会が終わった。(次は10月31日・11月1日)
(あー、疲れた疲れた、喉も少し腫れてるよ)
受講者は、北は青森県から南は大分県までの23名。
同一団体に所属しながら、気候も葬儀の風習もまるで違う受講生たちの集まり。
10年前は男性ばかりで、女性の参加者が混じっていると珍しかったものだが、
その後の全国的な葬祭ホールの増加など、葬儀を取り巻く環境の変化に伴い、
今では女性の比率が4割程度に達している。
この団体でも、今後の葬儀司会における女性の比率はグンと伸びるだろう。
確かに、葬祭ホールで行う葬儀の司会は女性に適性があるようだ。
女性は、司会表現の理論を学ぶと、それを形にする技術の上達が早い。
葬祭実務の中でも、司会に関しては女性の感性の方が向いているようですね。

 

初日は午後1時から休憩を挟んで6時まで。
この時点で受講生は、すでにかなりの刺激を受けているはずである。
基礎トレーニングの方法と司会技術に関する基礎理論・
司会に対する取り組み方・宗教儀礼との関わり方・
知識の習得や経験を無駄にしないためのデータを有効に活かす実務の方法etc。
これらと共に、受講生の耳を鍛えるため、狙いを定めてトリガーを弾いている。
(イントラネットで音声ライブラリを聞かせまくったぜ・・・パソコン重し)
講習スタート時の緊張感をある程度維持しながら、初日が終わった。
その後7時半まで懇親会、そして宿泊棟で自由時間なのだが・・・。
結局はロビーに集まって各地の葬祭事情の情報交換と親睦会の続き・・・。
正規の講習時間には聞きづらい質問もあったのだろう。
適度なアルコールも手伝って、たくさんの質問をいただいた。
そして11時消灯・・・のはずなんですが・・・まあ一応ね。



翌日は8時からの朝食、8時45分から講習開始。
午前中は宗教儀礼からスタートした。
午前中の講習の柱は2つ。
1つは、各宗派ごとに必要なお経や偈文の抜粋と、司会から見た進行との関係。
全国規模でやると全宗派を対象にやらねばならず、受講生には辛かったはずだ。
(普段は馴染みの少ない宗派もあるからね)
これが地域開催だと宗派をいくつかに限定することが可能になり、
講習の中味も濃くなっていくのだが・・・。
講習中に弊社で使っているお経本の一部(といっても15冊位)を各自に回した。
このエッセイの読者にも伝えたいのは、町本はお勧め出来ないということだ。
(一般に仏具店などで販売されているもの)
それは檀家向けのものであって、つまり僧侶用(経典読誦用)ではないから、
簡単に言うとプロ仕様ではないものである。
目安博士(譜割りの印みたいなもの)もたまに間違っているし、
これでは不十分という経本をこれまで何度も目にしてきた。
仕事で使うものはキチンとした物を揃えていただきたい。
(決して高価ではありません)

2つ目は、実践用進行雛形ナレーションの読みのコツや取材のコツ。
要望があったので、少しだけ文章作りのヒントにも触れておいたが、
残念ながら受講生はまだそのレベルには至っていない。
いずれ機会があれば、取材から文章作りのコツというのも可能になるだろう。
午前の最後は2分程度の新作雛形ナーションのマイクリレー。
昨日から何度も聞かせていた[司会音声]の効果が出る頃です。
(テイストだけは、かなりの方が掴みかけていました)
理論と実演の双方向からの理解を求める講習は、やはり結果が早い。
んー、たったの1日で司会の表現が進化した人続出 !

昼食・昼休みを1時間ほど取って午後の部(3時まで講習)の再開。
最後はひたすら実践練習の2時間である。
課題発表もそれぞれの実務に合ったものを各自が選択し、
全員の前でトライしてもらってタイムアップ。
本当にクタクタになるまで司会漬けの1泊2日であった。

1日目から実務を中心にマイクリレーの時間をかなり費やしたので、
2日目には全員が上達していた。
ただし、基礎が出来ている人と出来てない人との「伸びしろ」の差が大きい。
そのことは受講された方達が一番痛切に感じたはず。
何事も基礎はおろそかにしないことだ。
今後しっかり研鑽を積んで、改めてご参加されると良いでしょう。
今後の現場の実務、頑張ってください。
全国各地へと帰って行かれたみなさん、大変お疲れ様でした。

今回の地域の面白話は岐阜です。
ある受講生からの情報で驚いたのが、その方の施行エリアは
一部にまだ土葬が残っていて、それはそれで多少は驚きましたが、
そんなことよりバスの手配についてビックリしました。
都内などの都市部では、バスも葬祭の専門業者がいますが、地方へ行けば
観光会社の観光バスが代用されるのは珍しくありません。
しかし・・・路線バスを貸切りで代用するとなると・・・初めて耳にしました。
本当でしょうか?
火葬場へ向かうバスに乗り込むと、つり革まであるというのですよ。
「整理券は?」 とか
「降車ボタンもあるのでしょうか?」
などと冗談で聞いてしまいました。
まだキャリアの浅い方だったので、もしかしたら勘違いかもしれません。
それにしても驚きの話でした。

それから静岡だったかな、ある司会者が真宗の導師入場のアナウンスに必ず
「ご法中様、並びにご寺院様・・・」と言うらしい。
そこでご質問は、
「真宗では必ずこういう言い方をするのですか?」
これは何かちょっと違うのではないだろうか。
法中(ほっちゅう)とは色々な意味で使われる便利な言葉だ。
お葬式で使う場合、一般的なのは式衆のことを指していると思う。
(これについては地域差があるかもしれない)
また住職のことを、確かに法中様と言うこともある。
お寺同士で使う場合は、寺仲間という意味合いもある。
さらに真宗は、正式には導師と式衆のことを導師と結衆(けっしゅう)と言う。
(残念ながらこれは普及した言い方ではありません)
お寺さん個人の考え方も反映してきそうだし、難しい問題ではあるけれど、
1つ言えるのは、この言い方をしていれば間違いない、
というような断定的・短絡的な物の見方をするのは危険である。
慎重に対応するようにアドバイスしておいたけど・・・。

同じ仏式であってもいろいろと言葉の意味合いは違ってくる。
例えば真宗は、住職の奥様を「坊守」(ぼうもり)と言いますが、
他宗派での坊守の意味は、僧侶の中でも下働きをする人のことだったりと
全然意味が違ってくる。(下手に使うと怒られますよ)
これは真宗が妻帯を認めていることに起因する表現の違いだろう。
因みに禅宗系での住職の奥様は「寺庭」などと言うのではなかったかな。
(カッコイイ表現だよね)

僧侶の呼び方にもジャンルが色々で、宗教上の位(僧階)と行政上の位・・・
宗教法人ですからね行政機関がある・・・とは全くの別物である。
さらに愛称というのも存在する・・・例えば「方丈様」「御前様」「和尚様」。
これらが入り乱れているので、やはり分かりにくいのだ。
「方丈様」とは、住職の執務をとる部屋が一丈四方の部屋であったことから
一般に住職(住持)の別称であり、愛称であるだろう。
「御前様」とは・・・決して午前様と書かないように・・・、
位が高くお殿様など偉い人の前でも、面を上げられた人(色々と相談に応じた)
のことであり、転じて住職のことを指すらしい。
「和尚様」とは、元来サンスクリットで「師」の意味を表す音からの転写。
しかし「おしょう」と読むのが一般的と思われるが、宗派で微妙に異なる。
禅宗・浄土宗では「おしょう」だが、天台宗では「かしょう」、
真言宗や真宗では「わじょう」と良く耳にするし、「和上」と書いているようだ。
何にしても難しいわ。

「井手の割り込み」
【FUNET】の「司会音声ライブラリ」が大変好評です。
会員の皆様は、是非スピーカで聴いてください。
5.000円程度の安価なもので充分ですから。
繰り返し聴くことで、驚くほどの効果があります。
正直申し上げて、私が予想した以上というか、それを遥かに凌駕しています。
司会の音声は、耳から憶えるのが正解です。

短期間で司会が上達したい方 !「司会音声ライブラリ」をご活用ください。
このソフト、正直・・・司会セミナー殺しだね。
(だから今まで無かったのか)
今日から愛媛へ飛びます。
少人数の司会研修開催になるらしい。
来てくれた方には充分な時間を取って、徹底研修だ。
ではまた。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2005年10月25日 16:25

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