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2006年02月07日

葬祭ホール オープン直前研修会がありました(加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

昨秋から、新設葬祭ホールのスタッフ教育をお手伝いしている。
今回は井手と共に現地に2泊してのサポートだった。
3回目で最後の「司会と接遇集中トレーニング」だ。

出かける日、東京はコートを着ていると汗ばむようなお天気だったが、
今年はその地方はどこもかしこも大雪かと思い、
靴底にギザギザのあるブーツを履いて行った。
中央線の中でも上も下もそんなに着込んでいるのは私だけ・・・。
万が一葬儀が入ったらお手伝いできるように、
黒服やパンプスも他に持って行ったので、2泊にしてはとても大荷物だった。
寒い思いをするよりは、洋服など万全の準備をして張り切って出かけた。
結局その市内は雪も積もっていなくて、
重装備なのは私だけ・・・という感じだったが・・・。


 


今までも多くの葬儀社様でスタッフ教育のお手伝いをさせて戴いているが、
スタッフ教育といっても、とても幅が広く、それぞれに奥が深い。
接遇教育だけを見ても、お客様と関わる部分のすべてがそれに当てはまり、
全体のレベルを底上げして行くためには、多くの手間と時間がかかる。
研修会の1日~2日で、このすべてを身につけるのは、絶対に無理なこと。
葬儀接遇のすべてを まず頭で理解して、覚えて、出来るようにして、
自主的に動けるようにするには、少なくても計画を立てて、数回にわたり、
数年にわたり、繰り返しの研修会が必須である。
しかしながら研修会のご依頼をいただくのは、葬儀社様として、
とても切羽詰まったときが多いような気がする。
そして研修が始まってからもやることが多い。
その葬儀社様独自の接遇の形を決める。
サービス形態を決める。
リーダーを決める。
そしてスタッフが、チームワークの元に
どのようなお客様にも対応するべく能力を身につけて行く。
それが接遇トレーニングの入口だ。

今まで、新設ホール立ち上げの研修会としてお手伝いして来た中で、
いつも大きな課題になるのが、新人スタッフと経験者の生かし方である。
まったくの新しい形を追求したいのであれば、
全員が新人というやりかたもいいだろう。
優れたスタッフがいれば、そのスタッフをリーダーとして、
新旧スタッフ両方を使い分けるという方法もある。
葬儀社様が「どうしたいか」のイメージを見せてくれないと、
講師としては研修会のやりようが無いということも確かだ。
どんなに周りから素晴らしいご提案をしても、
最後に行動して行くのは、現場スタッフたち。
出来ないことを無理に教えても「時間の無駄」ということにもなりかねない。
葬儀スタッフとして、お客様にご満足いただける接遇が
「出来るか、出来ないか」が、最優先のテーマだ。


 


今回の研修会は、すでにオープンの日が迫っている。メンバーも決っている。
葬儀の初日までに、何がナンでも出来るようにしておかなければならないのが
「通夜」「葬儀」の儀式内における接遇だった。
もちろん私はホール内の接遇の全てを見て、
接客に関わる全てをご指導したい気持ちは山々だ。
でもそんな時間は無い。
2日間は「通夜」「葬儀」の司会者と接遇スタッフの連携トレーニングに費やした。

決められた司会の言葉とリンクしながら、本番通りに動きのチェックをした。
まずは、あらかじめスタッフ達が決めた司会言葉と接遇の動きを見せて戴いた。
不自然な動きや言葉、スタッフがやりづらそうな所は直しを入れながら、
又、全体のバランスを見ながら、井手と相談しながら、
変更したり、カットしたり、加えたり・・・。
私は、そのスタッフの動きを 喪主役になって遺族の目で見たり、
会葬者になって良い、悪いを感じたり・・・。
2日間はあっという間に過ぎた。

接遇経験者にもご指導したが、
結局はどうしても新人スタッフたちの出来ない所に目が行く。
それは仕方が無い。
新人スタッフの出来栄えは、舞台に例えれば、
やっと自分の動作とセリフが頭に入り、動けるようになったあたり。
「自分のことで精一杯」というところだ。
しかし新人たちは随分頑張ってくれた。
そして現場を学ぶための研修会というのはそこで終わらない。
必ず次のステップに、本物のお客様の厳しい目を前にして、
ドキドキもんで修羅場を越して行く段階がある。
失敗をして落ち込んで、精神的にも苦しい思いをしたり、
怒られて悔しい思いをして、その厳しさを越さないと、
接遇も司会も上手にはならない。
そして又、それが楽しめないと成長して行けないのが、葬儀の仕事だ。

今回は、オープンまでに間に合わせるために、
新人スタッフトレーニングが中心になったが、
他の数名の経験者も他人事と考えてもらいたくはない。
「自分はどうなのか?」を常に心に思い、
全身全霊で接遇のグレードを上げて行かなければ、新しい葬祭ホールが泣く。





幸いにしてこの新規葬祭ホールの売りは、料理の美味しさと設計の素晴らしさだ。
元々、料理そのものが専門で、料理スタッフの気概はすごい!
厨房は清潔で、スタッフはキビキビと気持ちよいほどに動く。
朝礼の接客言葉の練習で、一番声が大きく、
気持ちがこもっているのは、料理スタッフたちだ。
葬儀ホール内はもちろん、控え室、離れの和室、そこに行くまでの通路、
くつろげる椅子の多さ、心に染み入る暖かくて美味しいお料理の数々に、
お客様は満足するだろう。
私たちのお客様は、悲しみに心をすり減らした方々である。
ゆっくりとその悲しみを癒せる雰囲気は、ここではすでに出来上がっている。
あとは、そこにいる「人(スタッフ)」が、
どれだけその悲しみを包み込めるかにかかっている。
「自分のことで精一杯」の段階は、すでに終えていなくてはならない時期だ。

今、スタッフたちは精神的にも辛い日々を過ごしているだろう。
しかしこの日々を越した時に、
スタッフとしての大きな成長があると私は確信している。
そして私も大いにサポートするつもりだ。
今が、頑張りどき!


<井手の割り込み>
今話題の東横inに宿泊した。
加藤がチェックインした時は、丁度運良くテレビ取材が入っていたらしい。
カメラに写ったかもしれない・・・と喜んでいた。
(この・・・おばさん感覚は憎めない)
そしてフロントにはパソコンが用意されているのだが、
毎朝ホームページのチェックをしていた。
(おばさんのチェックは厳しいのだ)





さて、私も敢えて厳しい研修報告をさせていただく。

スタッフの1人として、「楽をしよう」などと毛先ほどでも思っていたら大間違い。
甘い考えの人が1人でもいるな、と感じられたら・・・それは終わり。
出来なければ、愛する家族もろとも路頭に迷うと思わなければ。
言い訳や不満も理解できるが、今はそれどころじゃないはず。
本来は簡単なことなのだ。
出来ない人は、クビ! ただそれだけ。
司会もそうだけど、人材派遣のスタッフだったら翌日から呼んでもらえない。
能力のない人に声は掛からない。
普通の社会はそういうものです。
また仕事がなければ給料もゼロ。
本来これが当たり前。
我々は、仕事をしたって貰えないこともあるくらいだ。
それが嫌なら辞めればよい。
それでも葬儀の仕事をやりたい奴だけ残ってやる。
葬祭が好きな人じゃなければ、上手くなることはありえない。

愛の鞭だと思って、さらに厳しい事を。

リーダーの資格がない人は、リーダーを降りるべし。
皆をまとめられないのなら、それは能力無しと判断される。
経験者も、過去のやり方に固執し、将来の明確なビジョンがないなら不要。
他社の単なるコピーで葬祭の仕事が続けられるとは思わないこと。
そんな時代はとっくに終わっていることに気がつかなければ。
大手葬祭業者が、葬祭経験者を不採用とする理由がここにある。
過去の経験なんて長いスパンで見れば大した事ない、毎日の積み重ねが大切。
オリジナルをどうやって創り出すかだ。

一年後にこのスタッフ全員が生き残っているだろうか。
今こそチームとして戦わなければ勝ち目はないだろう。
少なくとも、毎日きちんと掃除をしよう。
整理整頓は当たり前。
その日決めた仕事は終わるまで帰るな。
日々のミーティングはしっかりやれ。
ダラダラやらずに仕事にはメリハリをつけろ。
新人のせいにしてもいけない。
恵まれ過ぎた環境は、人間を育てませんよ。
近隣他社との競合に負けるということが何を意味するか。
壁は全員で乗り越えろ、と言いたい。
(フー、つい熱くなったぜ)
それぞれに耳が痛い事を書いたつもりだが、皆の目の色が変わらなければ、
会社が潰れるか、スタッフ総入れ替えか、運営そのものを他業者に委託するか・・・。
もう愚痴を言ってもはじまらない。

最後に、講師として雇われている身で大変僭越ですが、
オープンを目前に控え、経営者がどんな葬祭業者を目指すのか、
スタッフ全員にもう一度徹底して欲しい。

このような事を書くのは辛いです。
私も講師として関わった以上、精一杯のフォローはするつもり。
それは加藤も同じ。
困った時はいつでもご連絡を。
頑張れ! 頑張れ! 頑張れ!

<お知らせ>
先日予告したパネルシステムが、今日アップ予定です。
まだテストバージョンという形をとりますが、
会員の方はジャンジャン使ってください。
もう、事務所の中が・・・パネルだらけです。
最近は、夢の中にまで出てきました。
(助けてえー)

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年02月07日 19:47

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