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2010年08月06日

死の質-クオリティ オブ デス-(工場長)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

日本人の平均寿命が、先日公開されました。
男性は、79.59歳(前年79.29歳)。
女性は、86.44歳(前年86.05歳)。
共に4年連続で過去最高を更新しているそうです。
女性は、25年連続で世界1位だそうで…。
長寿で女性が強い国ですな、日本は。

一方で、同時期に、
シンガポールの慈善団体リーエン・ファンデーションが調査した内容ですが、
「死の質」に対する調査も発表されていました。
http://www.eiuresources.com/mediadir/default.asp?PR=2010071401
日本は23位です。ちなみに、1位はイギリス。
日本は高額な医療費と、医療に従事する人員の不足が、
順位を下げる原因になっているようです。
英国が1位とする根拠は、ホスピスのネットワーク、
公的保健サービスの緩和ケアと鎮痛剤へのアクセスなどあるようです。
ちなみに、デンマークは22位、フィンランドが28位。
福祉国家として知られる国もランキング下位20位と低評価を受けていました。
調査の指標は色々とあるのでしょうが、
この種のデータは、結果をそのまま鵜呑みにはできませんな。

そもそも「死の質」とは何ぞや?と思いますが、
クオリティ・オブ・ライフが充実した生のための取り組みならば、
死の質は、死に際の環境を良くしようということに焦点を当てた取り組みのようです。
中でも、「緩和ケア」の充実が注目されています。
緩和ケアとは、痛み自体や苦痛を伴う症状から解放すること、
死を早めたり引き延ばしたりしないこと、
精神的な(スピリチュアルな)ケアを充実すること、等です。
尊厳死宣言書に書かれている内容とも、類似していますね。

また、今回の「死の質」の調査における提言として
「医療政策に緩和ケアを組み込んでいる国は、
 最先端の医療システムを要する富裕国を含めてほとんどない」
「世界的に鎮痛剤が適切に行き届いていない」
「死に対する認識やタブーが、緩和ケアの障害になっている」
などがありました。
どうも緩和ケアを促進したい気持ちが前面に出ています。

個人的には、緩和ケアも重要なのでしょうが、
日本の高度な医療技術も重要だと思います。
それらは死に臨む患者の選択肢であって、本当に「死の質」を調査するのならば、
死に臨む患者の選択肢全体を評価する必要があるでしょう。

また、本質的な死の質は、個人またはその周りの人が、
その人の死に対して考えることでしか高められないと思います。
そもそも論になってしまいますが、今も、今までも、
人々は死に対して「見ないこと」「考えないこと」を進めてきたわけで、
死から忌避してきた歴史があります。

緩和ケアや医療技術の発達で、死の形というのか、
死に様はキレイに見せることはできるでしょうが、
本当に個々がよりよい死を迎えられるかは、
また別の問題のような気がします。
自分自身の死に対して考えることが、
何より重要ではないでしょうか。

直葬などが増加している現代の日本においては、
気付かない間に、「死の質」が低下してきているのではないでしょうか。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2010年08月06日 09:00

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