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2011年04月06日

都市部の葬儀社と地方の葬儀社 (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

たまさか縁があって、葬祭業者への司会講習というお仕事を頂いたのが17年ほど前。
かなり古い話だが34,5歳の私が、当時は男ばかりの、いやオヤジばかりが集まる、
しかも受講生の半数以上が私より年上という環境の中に入り、
あれやこれやと苦労しながら、時にはお叱りを受けたり、何の因果かお褒め頂いたり・・・。
それがいつのまにか、幸いにして全国から呼んでいただけるようになった。
講習会を開催してくださった各地の担当者に恵まれたのは言うまでもない。
そして仕事の度に、独特で興味深い葬儀の風習を肌で感じながら、
地方ごとに葬儀は異なるという実感を得た頃だったろう。
講習会の度に地方の人は、総じて都市部の葬儀、特に東京の葬儀が一番だと、
意味もなく信じている人が多かった。
そこで今日は、都市部や東京の葬儀社がダメという意味ではなく、
都市部の葬儀社と地方の葬儀社の違いについてお話ししたいと思っている。
世間の人から見て、葬儀社は同じ仕事をしていると思われているはずだ。
ある意味そうだけど、同業者から見ると・・・そんなことはありません。

端的に比較した方が解りやすい、が一口に地方と言っても皆が同じであるわけがない。
これは都市部の葬儀社にも当然あてはまる。
このことをご理解していただいた上で、比較していこう。
また、本来なら男女の差についても記したいところだが、統一してスタッフとする。

都市部のスタッフ地方部のスタッフ
バスの運転外注大型免許取得
霊柩車の運転外注自賄
納棺外注自賄の比率高い(注1)
葬儀司会司会派遣業者自賄の比率高い
アシスタントレディ派遣業者自賄の比率高い
遺影写真外注外注
生花外注外注(注2)
葬儀施行場所自社ホール圧倒的に自社ホール(注3)
料理外注外注
返礼品外注やや外注(注4)
導師派遣僧侶が一部旦那寺が圧倒的
警備員警備会社自分たちで
外設(テント等)外部設備業者へ自分たちで

(注)
1.「納棺」については、湯灌やエンバーミングも含めています。
2.「生花」については、都市部も地方部も自社で持つ所が多くなりつつあるようです。
3.「葬儀施行場所」については、東京では自社ホールを有していない葬儀社が多数あり。
4.「返礼品」については、地方部では自賄いしたり、地域の特産品を扱う所もあり。

いくつもコメントしたいけれど、この表にざっと目を通しただけでも分かることがある。
地方で葬儀社に勤めたら、大型免許を取得する人は多いし、
担当者が自ら納棺するという昔ながらの葬儀社さんタイプが多いと言えるし、
葬儀司会やセレモニーレディやらは自分たちでこなしてしまう。
また外部設備のテント等も自分たちで建てるし、駐車場の係りも自分たちで担当する。
それから自社で返礼品を取り扱っている業者も多い。
つまり、クオリティの話ではなく業務としては、
地方部の葬儀スタッフは圧倒的に都市部のそれより忙しい。
一昔前、笑い話でよく聞いた話が、
「私は東京で葬儀社に勤めておりました」
と言って、地方の葬儀社に再就職をする人がいる。
「おお、そうか」と、地方の葬儀社の社長は、
東京で葬儀社に勤めていた人ならと安心して雇うのだが、
いきなり「マイクロバスの運転はできない」と言われ、
花輪を運ばせようと思ったら「持ったことない」とぬかしやがる。
それならっと、納棺をやらせたら「業者に頼みましょう」とほざきやがった。
じゃあと思って最後に司会をやらせたら、
「実は本格的にはやったことがありません」だって。
「お前は東京の葬儀社で何やってたんだあっ!」

笑い話なんですが、似たようなお話は身近に転がっていました。
一口に葬儀社のスタッフといえども、この有様です。
因みに、都市部は女性スタッフが大活躍。
地方部は、男性スタッフの力仕事が大活躍という所でしょう。


第14話 前半・後半です。
人生のドラマも色々あります。
今、映像を見て、摂り直したい箇所が沢山あって・・・おかしいね。
漸く五十を過ぎ、突如セリフが出なくなった舞台の夢を、
最近やっと見なくなった頃なのに。
人間の脳はどうなっているのだろう。


投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2011年04月06日 08:00

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