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2013年01月16日

生保の現物給付解禁か(工場長こと古家寛)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

1月15日付の日経新聞で、
「金融庁は、生命保険会社が保険金の代わりに介護や葬儀などの
 現物を顧客に提供する保険商品を販売できるように規制を緩和する」
と出ていました。
インフレに対するヘッジは、
こういう形で葬儀にも現れる可能性がでてきましたね。

参照:生保の現物給付解禁へ 介護や葬儀、保険金と選択 金融庁が規制緩和

この規制緩和は、いくつか視点があるでしょう。
個人的に関心があるのは、以下の3点です。
1.葬儀の「現物給付」は流行るか
2.保険会社による葬儀社の買収はあるか
3.将来的に保険会社が葬儀の送客を主導するか

葬儀の「現物給付」が流行るかに関してですが、
先にも書きましたが、インフレに対するヘッジも影響すると考えています。
生前予約とヘッジ
政府はデフレ脱却に向けてインフレ目標を2%としています。
仮にこの水準が続くとした場合、現在100万円の「葬儀サービス」があったとすると、
30年後、同じ内容のサービスは約180万円になります。
同じ掛け金ならば、30年後に死亡保険金として100万円を受け取るより、
「葬儀サービス」を受け取る現物給付を選択した方が得になる、
そう考える一般消費者も増える方が自然です。

もちろん、ヘッジを前提とした保険商品の売り方だけではないでしょう。
そもそも葬儀の販売チャンネルが保険会社にできること自体、激震です。
生命保険市場は、年々目減りしています。
(生命保険市場規模は、2000年の46.7兆円から2010年の41.0兆円に減少傾向)
規制緩和された場合、保険会社が市場開拓してくることは自然ですし、
様々な売り方で現物給付を流行らせるでしょう。

現物給付解禁に関連して、保険会社による葬儀社の買収は十分にあり得ます。
葬儀を子会社に送客できますからね。
既に、介護会社は生命保険会社に買収されています。
参照:介護施設運営事業への進出について
保険商品の開発と併せて、葬儀社の買収が戦略上の視野に入っていても、
不思議ではありません。

とはいえ「買収」は一部で、多くの場合は、
送客先として「提携」が現実的なところではないでしょうか。
送客ビジネスに関してはイオン等の前例もあります。
保険会社としても、手を付けやすいのではないでしょうか。
人が死んだら真っ先に保険会社に電話して欲しい、
(フランスではそれが当たり前らしいですが)
保険会社としては、そんな青写真を描いているでしょう。
葬儀の現物給付という強力な保険商品が流行れば、
保険会社が葬儀の送客を主導することも現実味を帯びてきます。

生保の現物給付解禁がされた場合、
保険会社による送客でマージンを取られる顧客が増えることは、
想定しておいた方が良いかもしれません。

あと、この規制緩和に最も敏感なのは互助会ではないでしょうか。
「互助会の掛け金」と「月々の保険料」は、
消費者目線で食い合う気がしています。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2013年01月16日 08:01

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