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2015年02月18日

野球肩とハンター (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

学生時代ほどではないが、野球をやっていた人間にとってプロ野球のキャンプインは、
この歳になってもそれなりに待ち遠しいものだ。
今年もまたペナントレースが始まるが、どんなドラマを見せてくれるのだろうか。
その野球について書こうと思う。

 

私も学生時代、ガラスの肩を持つエースと云われ、
中学2年の頃から肩の痛みで苦しんできた一人の野球少年だった。
電機治療、針、カイロプラクテクス、スポーツマサージ、怪しい貼り薬…何でも試した。
結局、試行錯誤の末、やむにやまれず諦めたのだが…

我々の時代は身体を鍛えるために「うさぎ飛び」というあまり効果が出ない…漫画
巨人の星の悪影響だろうか…寧ろ身体に悪いとまで現在では云われている、そんな
「うさぎ飛び」をルーティーンで毎日のように繰り返した。
また夏は泳ぐと「肩が冷える」から水泳禁止とまで云われた古い時代である。
練習中は一切水分を取らせてもらえず、その上ダッシュの繰り返し…
いくら時代とはいえ、当時の指導者たちが如何に不勉強であったかが分かるが、
大人になってから、大人に押し付けられていた誤りの責任を誰も取ってくれない。
「あの頃は、知らなかったとはいえ嘘を教えてゴメン」
こんな指導者には、未だかつてお目に掛かれないのが現実だ。

ただ、過去の事はもういい。
時間は返ってこないのだから諦めるしかない。
問題は、現在進行形の所にある。
今でも野球肩で悩んでいる親や子供が多いと聞く。
その治療法に関するネットでの情報も昔とは大違いだ。
でも、どれを信じてよいか未だにハッキリとは分からない。
そこで、素人なりに思うことがある。

現代の西洋・東洋医学では野球肩に対しての治療法は確立されていない。
どうして野球肩になるのか、という原因すら医師や治療家によって見解が違うようだ。
また医者の中には、昔私が聞いたセリフを未だに連呼している人が多い。
例えばこんな風に。
人がボールを投げるとは、どういう動作ですか。
よーく考えましょう。
小さな子供や、類人猿であるゴリラやチンパンジーにボールを持たせたらどうですか。
間違いなく下から投げるでしょう。
ゴリラが足を上げて、振りかぶってオーバースローでボールを投げたら驚きです。
つまり、人の体はボールを上から投げるような構造にはなっていません。
(ん??それはゴリラかチンパンジーでしょ…少し変)
ではどうして人はボールを上から投げるのでしょうか。
それはより速く、より遠くにボールを投げたいからなのです。
(それは野球の話に特化しています)
上から振りかぶってボールを投げた方が、
より大きなエネルギーをボールに集めることができます。
(その通りです)
上からボールを投げるということは人間があみだした技なのです。
(編み出した技?…なぜその技を編み出したのかな…野球のため、まさかね)
そのため大きな力が肩にかかるので障害や外傷が起きるのです。

それは何度も聞きました、どこの医者も同じことを云うから。
でも、ソフトボールの下投げの、あのボールの威力は?
(かなり凄いです)
また、アンダースローという投法に関しては、どう説明するのですか?
さすがにこちら側から問いただすことは出来ないが、
彼らは皆一様に同じ事を云い、しかし、そこから先の治療法は各自バラバラ。
どうしてこうも治療法が違うのだろうか?
そして最悪な事に、私はどの治療法も効かなかった。

そんな時、大好きな日経サイエンスの記事を読んだ。
(必要な個所だけ要約・抜粋)
人類はハンターである…30万年前、
火山ガラスの塊から小さな矢尻を丹念に作り上げ、それを木の柄の端に取り付けた。
ハンターが飛び道具を身に付けた瞬間である。
それはまさに革命。
ただの棒より遥かに効率よく獲物を殺せる。
狩る動物の種類も増えた、大型の危険動物との間には十分な距離も取れるようになった。
何の変哲も無いように思えるけど、この当時最大の技術革新は、
外見上とても狩に向いているとは見えない人類を、
結果として、地球上で最強のハンター、最強の捕食者と成らしめた。

現在、コンビニとイオンに囲まれて暮らす我々は、
自分が生まれながらの「ハンター」であるとは思わない。
確かに見た目は、ハンターからかけ離れている。
動きは遅いし、鋭い牙や鉤爪もない。
しかしそこには、広いサバンナを誰にも邪魔されることなく支配してきた
ネコ科の猛獣などの大型肉食動物に対抗するために変化した二足歩行。
その二足歩行による圧倒的な持久力の確保…四肢で走る動物には
短距離走では叶わないが、長距離走では秀でているのだ。
肩関節窩が横向きになったせいで木登りの能力は失った。
しかし、高速で正確に物が投げられるようになる能力を身に付けた。

ん、ん、なんて?
肩関節窩が横向きになったせいで木登りの能力は失った。
しかし、高速で正確に物が投げられるようになる能力を身に付けた…
こうして初期のヒトは、捕食される側から捕食者へ、草食から肉食へ、
と劇的な進化を遂げた…

肩関節窩が横向きに…
この進化の過程での、生きるための、生き残るため、やむにやまれぬ無理が、
数万年の時を超えて現代の野球少年に体に…と思えば、私は諦めがつく。
では、その治療法は…かなり高度であろう。
だって肩に負担が掛からない投球というものは、人類にとって有り得ないのだから。
理に叶っていない動きをして、肩や肘を壊さないように…というのは虫が良すぎる。
しかし、その事を理解した上で野球に取り組んでいたら、結果は違っていたはず。
野球の投げるという動作は、不自然な身体の使い方をするのが当たり前、
だから普通に考えたら壊れやすいのだ、いずれ壊れるのが当たり前である。
この知識は、野球少年は持っておくべきであろう。
…というのが、私の見解だが。
だって、早くから投球制限があり、それが当たり前である米国の野球(大リーグ)。
日本も漸く追いついたかな…というところ。
結局、ある意味「指導者」のレベルが違いすぎました。
残念。

【FUNETに新システムが追加されました】
映像システム2高速版です。
入力するのは氏名のみ、後は選択するだけです。
写真の対応は、7枚~34枚まで簡単に作成できます。
20枚バージョンの一つである追悼サンプル映像をどうぞ!


投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2015年02月18日 08:30

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