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2006年04月29日

出棺後の風習について

カテゴリー : 質問コーナー

こんにちわ、いつも楽しくMCエッセイを拝見させていただいております。
岩手県K社のTです。
さて早速ですが・・・私の住んでいる地域は火葬が終わってからの葬儀という風習です。
その際時々見かけるのが、出棺した後に縁側の扉を全部開けて
座敷の奥の方から、畳をほうきで掃き始めます。
これにはどんな意味があるのでしょうか?

「ただの掃除です」
と答えたいところですが、実は意外と奥が深いのです。
出棺後に残った家人が箒で部屋を掃く風習は、鎌倉時代以降に散見します。
柩が安置されていた部屋に塩を撒いて、竹の箒で掃いた後、その竹箒は川に捨てる。
要は部屋を清めているのですね。
そして使った竹箒も穢れるので処分する。

さてTさんの地域ではどうでしよう。
(ナント逆質問だあ!)
1.塩は撒きますか?
2.箒は竹箒ですか?
3.その後、箒は処分しますか?
多分・・・かなり簡略化されていると思います。
ならば、葬儀社側で「使い捨ての竹箒と塩」のセット商品なんか喜ばれるかも。
(質問には答えなくて結構ですよ・・・冗談です)

さて、竹箒から脱線します。
竹は木とは異なる優れた特性を持っています。
茎が中空、割裂性、弾力性に富み、さらには伸縮しにくいことが、
日本の文化の中で巧みに利用されてきました。
また成長力があり、冬でも枯れない竹は、四季を通して全国各地に豊富に存在しました。
そして竹は葬送儀礼の様々なシーンと切り離すことができません。
昔は、土葬することも出来ない人達が大勢いて、
そんな人達の埋葬場所が主に竹林だったようです。
竹林の中に野捨てのような状態なのですが、
では何故竹林かというと利点がいくつかありました。
まず、竹は藪が濃くて視界から(死体が)隠しやすい。
次に、竹の葉にはいわゆる解毒作用があります。
(防腐・殺菌・防黴・消臭…おむすびを包みますよね)、
つまり死体からの疫病を防ぐ効果が期待できる。
本来、拾骨の際に竹の箸を使ったのも、
こうした葬送儀礼と竹との密接な関係から納得がいきます。
日本人は様々な特性を持った竹というものに、霊的な力を見ていたのでしょう。
竹取物語でかぐや姫が竹から誕生するのもこうした背景があるからだと考えられます。
神葬祭の斎竹(忌み竹)にしてもしかり。

では、全国の出棺の風習をいくつか。
出棺後に、故人が生前使っていた茶碗を割る「茶碗割り」
出棺後に、部屋を竹箒で清める際、ざるを転がす「ざる転がし」
出棺時の「撒き銭」
出棺時、遺族の男性は「麻の袴姿」
出棺時、玄関先で藁を燃やす。
出棺時、出立のお膳を回す「食い別れ」
出棺時、赤や黄色の「涙手ぬぐい」を配る。
出棺時、卍マークが書かれたものを頭に付ける。
出棺時の「柩回し」
この他にも全国に面白い風習はたくさん残っているでしょうね。
私見ですが、葬送儀礼の風習でよく使われるのは、
竹、藁(わら)、陶器、麻、でしょうか。

Tさんの地域とは逆なのですが、部屋の掃き掃除を、縁側に向ってではなく、
部屋の内側に向かって掃く地域もあります。
その理由が明確ではないのですが、
葬儀は非日常だから普段と逆の事をするパターンかもしれません。
あるいは、竹箒は目が粗いので、邪気はその隙間から戸外に退散させる目的かも。
というのも、上記の「ざる転がし」には同様の意味があって、
ざるの目の粗さから邪気に退散してもらうとされているのです。
「天網恢恢疎にして漏らさず」じゃなくて、
「天網恢恢疎にして邪気だけ漏らす」だね。

ご質問ありがとうございました。
井手一男

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年04月29日 00:00

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