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2006年10月17日

九州で接遇研修会がありました (加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

九州では1年ぶりの研修会だった。
その県内の広い地域から、30人近いスタッフが集まってくださった。
テーマは「葬祭ホール向け接遇研修会」であるが、
まだまだ自宅葬も寺院葬も多いこの土地である。
ホール経験が無いスタッフもいるという。
様々な接遇環境に向けて、どのようなご指導をするかは、いつも悩むところだ。


今回は経験1年未満から10年選手まで、スタッフの実力も様々だった。
それぞれがどの程度の実力を持つのか、研修会を進めながら、
ここまでは出来るようになって欲しいというところまで指導しながらも、
手探りの部分も多かった。

いつも思うことは
「普段の仕事の環境が、良くも悪くもスタッフを作る」ということだ。
接遇とは、経験年数が長いからといって上手とは限らない。
(又その逆も言える)
仕事の環境や、周りのスタッフのやり方、本人の考え方・・・。
長い年月の中で何をしてきたかということのすべてが、今の自分を作り上げる。
良い接遇環境の中で育まれて来たスタッフは幸せだ。
この良い環境とは、厳しい環境のことでもある。
厳しい先輩に鍛えられてきたかも知れない。
競争の中で仕事をしてきたかも知れない。
ぬるま湯につかっていて、楽なことばかりをしているスタッフは育たない。
これはどこの世界でも同じだ。

各葬儀社の接遇は様々である。
この地方のスタッフ接遇は、様々なシステム上の難しさも抱えているようだ。
葬儀の中の、一番大切なお客様接遇を、
派遣社員にすべて任せている葬祭ホールもあるという。
だから研修の中で「やってみてください」と言うと、
「これは普段やりません」とか「やったことがありません」・・・。
やる必要がないと言うスタッフが出てくる。
時間があれば「やっていなくても体験してみましょう」
ということにもなるが、他にも大勢のスタッフがいるのに、
「将来的にもやりません」というスタッフに指導する時間はない。

実は大きな都市に傾向があるが、接遇方法の二極化が進んでいる。
葬儀の一番大切な部分、儀式の中の接遇にタッチしないのは何故だろう。
何かあった時に責任は誰が取るのだろうか・・・。
担当者として責任を感じるならば、お客様を大切に思うのならば、
直接タッチしないまでも、式場の中にいて葬儀を見届けるのが当たり前だと思うが・・・。
派遣スタッフを使うということはお金もかかるということだ。
葬儀代金がそれだけ高くなるとも言える。

それも、葬儀担当者として接遇全般がきちんと出来ていて、
あえて派遣スタッフを使うのならまだしも、
接遇の知識も無し、実技も出来ず、派遣スタッフのみを頼りにする・・・
というのは「葬儀社」ではなく、「葬儀請負業」ではないか。
やれば出来るスタッフもいるのに、すごくもったいないことだと思った。

もうひとつ気になったのが、ある男性スタッフだ。
研修会で繰広げられることに、戸惑った様な態度をとり続けた。
(見かたによれば反抗的ともとられ兼ねない態度だ)
ある程度の年月を現場で過ごしていれば、講師が基本として伝える内容を、
上手に現場の形にリンクさせて、気づいて行くことが出来るが、
現場体験が浅いと、講義内容に着いて行けない場合もある。
しかし経験が無くても「出来ないなりの一生懸命さ」というものがある筈だ。
「接客の仕事」は、常に自分のことはさて置いて、
お客様の立場に立ち、心を尽くすことが求められる。
自分本位の思いを前面に出すことは慎まなければならない。
それが出来るか出来ないかは、サービス業者としての資質まで問われることになる。
そのスタッフからは「素直な前向きさ」を感じなかった。
「謙虚さにも欠ける」こんな尊大な態度を・・・
お客様の前でもするのだろうかと心配になった。

研修会は遊びではない。
会社側もお金をかけた真剣勝負である。
私も何かの結果を残す為に来ている。
生半可な思いでは無い。
厳しいことも言う。
それは当たり前なこと。
そしてそれ以上にスタッフだって結果が求められている筈だ。
研修会という場所で、受講生から「口答え」や「言い訳」や、
「やる気の無い態度」が出た時、その時点でスタッフのレベルが分かる。
ひいてはその葬儀社のレベルととられても仕方が無い。

以前に講義をさせていただいたある葬儀団体では、
講義の最中ずっと寝ている若者がいた。
それを周りにいる仲間も上司も注意をしない。
多分、日頃からそのような関係性が成り立っているのだろう。
「言ってもきかないから無視をする」
「無視される」
「ほおっておかれる」
「あきらめの蔓延」
そこで上司の指導力が分かる。
「お客様満足」を学ぶ以前の低過ぎるレベルに、私はあきれ果てた。
その若者は、少なくても、大人として、社会人として、
最低限のことが出来るようにならないと、
いつまでも世間から馬鹿にされることを知っているのだろうか。
そしてたった一人のこういう態度が、
多くの仲間に迷惑をかけていることを知るべきである。
他のスタッフの頑張りが、たった一人のこういう態度で全てをゼロにしてしまう。

この葬儀団体は、地域でのシェアは高いと聞いた。
しかしそれはたまたまであって、
その環境にいつまでも甘んじていられるとは思わない。
高いシェアがいつまでも続くことは、
当たり前のことでは無いということを知る必要がある。
今からでも、いつなんどき、同業他社が進出しても、
決して負けない強い体質を作る努力が求められる。
その為には危機感を持つこと。
このたった1日の研修会で、全体が大きく変化することは難しいだろう。
しかし、私がお伝えさせて戴いた何かが、
少しでも良い方向へ変わって行くことのきっかけになることを念じたい。
大変お疲れ様でした。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2006年10月17日 00:09

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