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2014年04月23日

メッセージ(Nishida)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

私は命の誕生に関してもっぱら弱い。

TVで誰かの出産シーンなんて見たときにはもうダメ。
ボロボロに感動してしまう。妊婦の友達が無事に生まれたと
報告を聞いても安心して涙が出る。
自分が妊婦の時に状態があまり良くなくて、中には
「そんな子は生まれてきても大変だから今回は諦めろという人もいた。
入退院を繰り返したけど、それでもそんな不安を一瞬でかき消すように
愛息子は元気いっぱいに生まれてきてくれた。
奇跡だと思った。

先日の食事の帰り。ほろ酔い状態で楽しかった気分に浸りながら、
代行さんに車を任せ、後部座席で愛息子と楽しかったねえ、明日はなにしよっかぁと
話していた。一方、運転手さんはブツブツと話す方で声が異様に小さく、道案内をするにも、
体を前のめりにしないと聞こえない。
30分ほどの道のりの半分位のところで運転手さんが話し始めた。

「お子さん、いくつですか?」「名前は?」「今日は楽しかった?」といった調子で話していると、
突然、「私の子供は2歳11ヶ月で死んだんです。」ぼそっと言った。思わず「え?」と聞き返したけど、
彼はそのまま話を続け、生後数ヶ月で白血病とわかり、その歳で亡くなったと。
病院に対する憎しみや憤り。今も同じ体験をした人達の会に入っていること…
そんな時、みなさんなら、どういう言葉をかけますか?
私にはかける言葉が見つからないまま、涙だけが溢れていました。

多分、話は途中だったと思う。でも自宅の駐車場に車が停まった。
別れる前になんか言わなきゃと迷っていると、彼が先程までとは
まるで違う大きな声で、ありがとうございましたと言った。
料金を払い終えた後も笑ってありがとうございましたと何度も言って帰って行った。
気の利いたことも言えずに申し訳ないななんて考えたけど、
結果的に彼の最後の笑顔に救われた気がする。


お子さんをたくさん愛してくださいね、そう伝えたかったのだと思う。


その日、世界一可愛い寝顔を見ながら、げんきに生まれてきてくれたこと、
すくすくと成長すること、これも奇跡なんだと改めて感じる夜になった。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2014年04月23日 01:45

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